【コラム】ゾンビにならないために=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.03.03 16:05
ゾンビにならないためにはどうするべきか。ゾンビに噛みつかれてはいけない。ゾンビにならないためには人間と疎通しなければならず、協力しなければならず、考えなければならず、祈らなければならない。そのために昔から聖職者は人間はさらに正直にならなくてはならず、もっと道徳的にならなければならず、もっと利他的にならなければならず、もっと寛容にならなければならず、もっと惻隠の情心を持たなければなければならないと叫んできた。それでこそ私たちはゾンビではなく真の人間になれると。
しかし人類の歴史は「真の人間」になることに失敗してきた歴史だ。人間が利他的になるのに失敗した歴史だ。その長い歳月の間、その多くの宗教指導者や聖者が人間に利他的人生の道を提示したが、人間は今も互いを噛みちぎって、新しい餌を探しに出かける。それだけか。利他的人生を勧めてきた宗教団体や社会運動家さえ権力の前でゾンビになってしまったこともある。人類の命運をかけた利他心鼓吹プロジェクトの結果がたったこの程度なら、人間は結局ゾンビになってしまう運命なのかもしれない。
絶望するにはまだ早い。政治学者ロバート・アクセルロッドによると、人間はみな聖者になる必要はない。協力する社会を作るために人間が特に利他的な存在になる必要はない。利他的な存在になるために定期的に聖職者に会う必要もない。利己的な人間を制裁する脅威的な政府が存在しなければならないこともない。人間は互いにゼロサムゲームだけをしているわけではないから。利他的に行動してこそ結局自分のためになるということに人間は気づく。