【コラム】巨大談論がない選挙=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.01.19 10:24
今回の大統領選は巨大談論が消えた選挙といわれる。両党候補は「私がもっと与える」と競争する。公約は良く表現すれば「生活密着型マイクロ政策」であり、選挙運動はインターネットのミームに依存する。脱毛治療の健康保険拡大や「女性家族部廃止」といった7文字の公約からどんな哲学を読めるだろうか。そこに、今の韓国社会に対するどのような診断が含まれているのだろうか。
候補らが自身の口からは言い難い、粗悪な巨大叙事が隠されている。「検察と親日派が大韓民国を支配する」とか「文在寅(ムン・ジェイン)政権と586世代が国を滅ぼした」とか。その叙事から導き出される課題は復しゅうだ。私たちが権力を握って相手側を監獄に送れば韓国社会も良くなるという、明快で無知な話だ。
正義党の不振もチョ・グク事態などで空回りしたというよりは、代案政党として代案を見せなかったことに根本的な原因があると考える。実際に、どのような努力をしたのかとは別に、過去数年間正義党は大衆にパフォーマンス政党、アイデンティティ政治の政党に映られていた。その間、プラットホーム労働の時代が到来し、正義党の柱となる労働ビジョンは現実から遠ざかるように見えた。