【コラム】『醜い中国人』は消えるか(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.12.06 14:26
外部の文物も中国に入ってくれば変質するが、例えば中国の民主は「あなたは民、私は主」このような形態だと柏楊は指摘した。この本が出版されると、柏楊にインタビューをした日本の記者が皮肉るようにこう質問した。「日本人が中国人を見下すことになった。同胞に対して申し訳なく思わなくはないか」と。すると柏楊は「中国人の短所を指摘できるのは私自身が中国人だからだ。20世紀以降は反省することができる新世代中国人が誕生するだろう」と反撃した。この本は86年に中国大陸でも出版されて激しい文化的自省運動を触発する契機になった。衝撃があまりにも大きかったせいか、大陸では翌年禁書に指定され、その後2004年に解除された。500万部以上が売れたといわれている。
柏楊は2008年に亡くなったが、それから13年後の最近になり、この本が再び両岸の間で話題になっている。発端は台湾で本を出版してきた遠流出版社が本の一部の内容を台湾の中学校1年生の教材に収録したいと提案してからだ。教科書に内容が掲載されるのは名誉なことだが、柏楊が亡くなってから代わりに版権を持つ夫人の張香華氏が提案を断固として断った。その理由として「歴史を知る成人を対象に書かれた本であり、まだ国家観が確立されていない青少年には不適切」を挙げた。しかし実際は台湾独立を追求する民進党政府が2016年から繰り返しこのような提案をしているが、その意図が中国を下に見るためのものだと判断しているためだ。詩人でもある張香華氏は台湾政府が「中国史」を東アジアの歴史の観点から教えることに不満を持っている。台湾政府が中国とは別ものだという立場を鼓吹することに対して、夫・柏楊の作品が利用されるのが嫌だというのだ。