【時視各角】誰が歴史を独占しようとするのか=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.11.30 14:02
「歴史とは現在と過去との絶え間ない対話」と言ったのは英国の政治・歴史学者E.H.カー(1892-1982)だ。1980年代の大学新入生の必読書の一つだった『歴史とは何か』に出てくるこの言葉は、歴史を解釈して記述する行為の本質について正鵠を射たものだ。E.H.カーが研究テーマとしたソ連のスターリン体制はもちろん、かつてヒトラーまでも擁護した遍歴の所有者という事実は後に知ったが、それでも彼の言葉が輝きを失うわけではない。
歴史は過去の事実だけの算術的な合算ではない。現在は絶えず歴史に介入する。ところで現在は絶えず変化する。この世を生きる昨日と今日が違い、人の心は朝変暮改する。言い換えれば、万古不変の歴史解釈はあり得ないということだ。しかも一定期間に限り権力を委任される政府が、特定の歴史解釈を公権力で強制するというのは極めて危険な発想だ。朴槿恵(パク・クネ)政権が国定歴史教科書を復活させようとしたこと、与党・共に民主党が歴史歪曲防止法を推進することすべてに該当する言葉だ。ところが李在明(イ・ジェミョン)民主党大統領候補はさらに踏み込んで「歴史歪曲断罪法」を作ると公言した。革命政府や恐怖政治を連想させる名称からして不穏だ。