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【コラム】改憲論を呼ぶ「イカ大統領選」=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.11.17 11:12
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序盤から大統領選挙の風景が険悪だ。激しい言語の饗宴だ。李在明(イ・ジェミョン)対尹錫悦(ユン・ソクヨル)という対戦表の完成が弾みをつけた。双方ともに予想していた構図であり「0選」政治新人の対決だ。にもかかわらず歴代最高の非好感マッチになっている。両陣営が反対側候補を極端に憎悪する。両候補の強烈な個性が相手の憎悪を強める。陣営は両極端に分かれた。それで中道層を抱き込むことが重要になる。投票する人がいないという20・30代の若者がターゲットだ。

与党・共に民主党は圧倒的な政権交代世論で中道層と20・30代を確保する必要がある。最大野党・国民の力の目標はその反対だ。「政権交代世論」をさらに拡大していかなければいけない。落選した洪準杓(ホン・ジュンピョ)議員はこう語った。「次期大統領選が『夕陽のガンマン』のようになっていく。敗れた者は監獄に行かなければならない凄絶な大統領選挙だ」。洪議員は今回の大統領選を「泥田闘狗(泥仕合)」と言った。「泥沼でする犬のけんか」という意味だ。両陣営が死活をかけた汚れた戦争、泥田闘狗の2021年バージョンは「イカゲーム」だ。

 
イカ大統領選で主な武器はネガティブだ。両候補と周囲はデマも多く、欠陥も見える。弱点が少なくない。それでネガティブのよい餌食となる。相手候補に向けた無差別的な攻撃が飛び出す。尹錫悦Xファイル、李在明チラシがそのような範疇だ。匿名に隠れた無責任な攻撃は粗悪だが激しい。事実なら大統領選出馬が難しいぞっとする内容だ。

候補と家族を狙った暴言がSNSで広がる。夫人の転倒事故関連のデマに候補は監視カメラ映像と119通報録音まで公開することになった。一日一日が「フェイクニュース」との戦争だ。反対に鍾路(チョンノ)の真ん中では野党候補攻撃がピークを迎えている。「ジュリー壁画」に続いて「犬謝罪壁画」までが登場した。野球場に夫婦でなく一人で登場したことをめぐっても誹謗が多い。嘘、中傷、逆情報が絶妙に組み合わされる。オンラインとオフラインともに真っ二つに別れた。

候補と党指導部も同じだ。相互尊重どころか体面までも捨てた。尹候補は「誰か見ても大庄洞ゲートの胴体は李在明」とし「私が大統領になれば火天大有(ファチョンデユ)の主は監獄に行くだろう」と語った。一方、李候補は「(尹候補の)本部長(本人・夫人・夫人の母)不正は明らかになった点が多い」と話した。すると最大野党の代表は「我々の候補の家族に触れたので今後は堂々と李候補の家族に触れる」と言う。「19歳以下視聴禁止の泥沼対決」宣戦布告だ。

大統領選挙のレベルも落ちる。キャンペーンの傍点は「私はこうする」より「相手が勝てば滅びる」に打たれている。政策対決は貧弱だ。最近始まった不動産保有税の論争がすべてだ。候補の関心も非好感誘導と烙印だ。「手のひらの王字」「阿修羅」などの言葉が大統領選を支配する。ビジョン対決より相手の過ちと失言を浮き彫りにする方が効果が大きい。人相投票と憎悪投票の限りないリピートだ。

ドラマ『イカゲーム』の5番目は飛び石渡りゲームだ。目の前にある強化ガラスと一般ガラスを18回連続で区別してこそ生き残る。区別のための情報提供はない。その点で今回の大統領選と似ている。豊富なのは相手に対する誹謗情報だ。政策とビジョンに関する情報は制限された。彼らが執権する場合、韓国の未来5年間の絵が十分に描かれていない。どちらが強化ガラスか、一般ガラスか、それとも両方とも一般ガラスか、知る方法がない。

それでも選ばなければいけない。国が地に落ちて消えるのか、ガラスの上に残るかは運に任せる。それでも勝てば絶対的な天下を握る。非好感度60%程度の2人のうち1人がその大きな権力を手にする。権力を握れば生きて、逃せば死ぬ。それで陣営対決が陣営戦争、結局は陣営虐殺にまで広がる。

5年任期の大統領を決める選挙を4カ月後に控えている。ところがむしろ分権への要求が噴出している。異例で逆説的だ。9月末-10月初めの中央日報のリセットコリア改憲分科と韓国リサーチのウェブ世論調査の結果もこれを見せている。好む政府の形態として分権型大統領制を選んだ人が半分を超えた。半面、現行大統領中心制に対する選好度は15%にもならなかった。

成功の確率が顕著に落ちる飛び石渡りゲームに国家の5年の運命を賭けなければならないのだろうか。これを心配する人はかなり多いようだ。筆者の周辺の「国を心配する」いわゆる中道層の一人の言葉だ。「どの候補が勝ってこそ国が滅びないかが私の判断基準」。本当に悲しい選挙だ。

ソ・スンウク/政治チーム長

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