世界の自動車メーカーで脱炭素をめぐる場外戦が激しくなっている。主要事業である自動車生産過程でだけでなく主要事業以外でも炭素排出量を１グラムでも減らそうとする苦闘だ。ここには脱炭素を達成できなければ未来に生き残れないという切迫さが背景にある。

◇フォルクスワーゲン、ＬＮＧ車両運搬船６隻に増やす

フォルクスワーゲンは最近天然ガス（ＬＮＧ）車両運搬船４隻に対する長期賃貸契約を結んだ。フォルクスワーゲンは昨年からＬＮＧ運搬船２隻を運営しているがこれに加えてＬＮＧ運搬船４隻を追加で契約したのだ。完成車と部品を運ぶ過程で発生する炭素は少なくない。フォルクスワーゲンが直接運営する車両運搬船だけで１１隻だ。同社が毎年利用する船便だけで７７００隻に達する。

フォルクスワーゲンが中国に発注したＬＮＧ車両運搬船は新たな船舶エンジンを搭載して炭素排出量を減らした。一度に車両４４００～４７００台を運べる。フォルクスワーゲンは「ＬＮＧ運搬船は既存のバンカー油運搬船と比較し二酸化炭素発生量を２５％以上減らせる」と説明した。ＬＮＧ運搬船は粒子状物質の原因物質である窒素酸化物もこれまでより３０％以上縮小できる。フォルクスワーゲンのサイモン・モッター物流担当代表は「ＬＮＧ運搬船の発注は２０５０年の炭素中立達成に向けたグループ次元の戦略。未来の車両運搬船には化石燃料を使わない計画」と説明した。

これに先立ちフォルクスワーゲンはドイツ国内の鉄道物流運送に必要なエネルギーを親環境電力に転換した。同社は親環境電力を活用した鉄道輸送を欧州全域に拡大する計画だ。これとは別にバイオ燃料を活用する運送車２台も運営している。バイオ燃料は既存の燃料と比較して二酸化炭素を８５％以上縮小できる。

◇ＧＭ、２０２５年に米国内事業所で１００％再生可能エネルギー

米国ゼネラルモーターズ（ＧＭ）は６月、２０２５年までに米大陸内の事業所に使う電力の１００％を再生可能エネルギーでまかなうと発表した。これは当初計画である２０３０年より５年繰り上げたのだ。ＧＭサステナビリティ最高責任者のクリスティン・シーメン氏は、「気候変動対応措置は最優先課題。米国内での１００％再生可能エネルギー供給目標を５年早く達成し炭素中立という未来をリードしたい」と話した。

ＧＭは事業所内の炭素排出量をリアルタイムで追跡できるシステムを備えた。これを通じて事業所に供給される電力が化石燃料から出たならば独自に貯蔵していた再生可能エネルギーを活用したり消費電力を減らすことで再生可能エネルギー１００％に合わせる計画だ。自動車業界関係者は「電気自動車を売りながら工場や事業所から炭素を排出するのは矛盾。フォルクスワーゲンやＧＭのような炭素排出ゼロ実験が世界の自動車メーカーで標準になるだろう」と話した。

これに先立ち現代自動車グループは７月に「ＲＥ１００」の参加を宣言した。ＲＥ１００は再生可能エネルギー１００％（Ｒｅｎｅｗａｂｌｅ　Ｅｎｅｒｇｙ　１００％）の略語で、現在アップルとグーグルなどグローバル企業２００社ほどが参加している。現代自動車と起亜などグループ主力系列５社は２０５０年までにＲＥ１００の達成を目標にしている。現代自動車は２０１３年に牙山（アサン）工場に屋根型太陽光発電設備を設置し年間１３００万キロワット時の電力を生産している。これは３８００世帯が１年間使用できる電力だが牙山工場を稼動するには不足する。起亜は２０１９年にスロバキア工場で使うすべての電力を再生可能エネルギーに変えるシステムを構築した。現代モービスも今年初めにスロバキアとスウェーデンの事業所で１００％再生可能エネルギーに転換する作業を完了した。