【時論】ノーベル平和賞をジャーナリストが受賞した理由
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.10.14 12:02
今年のノーベル平和賞はフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサ氏とロシアのジャーナリスト、ドミトリー・ムラートフ氏が共同受賞した。ジャーナリストがノーベル平和賞を受賞したのはドイツが第1次世界大戦後秘密裏に再武装しているという事実を暴露したドイツのカール・フォン・オシエツキー(1889~1938)が1935年に受賞してから86年ぶりだ。
この数年間ノーベル平和賞の価値が大きく下落したという指摘が多かったが、今年は平和賞の価値をまともに生かしたようだ。事実ノーベル平和賞をめぐる議論は少なくなかった。代表的事例が2019年に受賞したエチオピアのアビィ・アハメド首相だ。彼は2018年に執権すると政治犯釈放など民主的改革を推進し、エリトリアとの国境紛争を解決した功労で受賞したが、その後は少数民族を弾圧し集団虐殺と性暴力を放置した。平和とは距離のある独裁スタイルを見せ、「ノーベル平和賞の屈辱」という非難を受けた。
今年の受賞者マリア・レッサ氏はCNN記者出身で、オンライン調査報道メディア「ラップラー」の共同設立者だ。フィリピンのドゥテルテ大統領が麻薬掃討を掲げて人権を踏みにじりフェイクニュースを乱発して批判者を弾圧したことを辛辣に報道した。権力批判のために逮捕されるなど政治的弾圧を受けたが屈しなかった。またもう1人の受賞者ドミトリー・ムラートフ氏はロシアの独立メデイア「ノーバヤ・ガゼータ」の共同設立者だ。ロシアのプーチン大統領の権力集中、腐敗疑惑、不法行為、選挙不正などを持続して報道した。20年間の政府批判報道のため同社の記者6人が銃撃などで犠牲になったが揺らぐことなく不正腐敗を報道した。ムラートフ氏は、「メディアの自由は腐敗と独裁権力を防ぐ手段」と所感を明らかにした。