韓日関係の膠着状態が長期化し、首脳会談がいつ実現するかに外交関係者の耳目が集中している。両国関係が史上最悪という評価を受ける中、さらに遅くなる前にどうにか突破口を開くべきという声が高まっているからだ。国際政治の事例を見ても、出口が見えなかった両国の対立状況が首脳会談をきっかけに劇的な転換点を迎えたケースは少なくない。このため昨今の韓日関係でも文在寅（ムン・ジェイン）大統領と菅義偉首相が会うことが膠着状態を解く最善の方法という主張が説得力を持つ。

現在としては首脳会談が実現する可能性は依然として高くない状況だ。バイデン米大統領の就任後、米国政府も韓日米３カ国の協力復元を強調しながら積極的に仲裁しているが、まだ可視的な成果を出せていないのが実情だ。韓国政府が最近、米国の立場に呼応して韓日関係の改善に前向きな態度を見せているのに対し、日本政府は「韓国が先に徴用・慰安婦問題で解決策を出すべき」という頑固な立場を維持しているからだ。

先月１１－１３日に英コーンウォールで開催された主要７カ国（Ｇ７）首脳会議当時も両国首脳の自然な対話が期待されたが、結局は実現しなかった。文大統領が会談場で菅首相に２度近づき、１分間ほど簡単なあいさつを交わしたのがすべてだった。昨年９月に菅首相が就任した後、韓日首脳が公式的な席で初めて対面したという点が唯一の所得だった。毎日新聞は「バイデン大統領もＧ７首脳会議を迎えて韓日米首脳会議を意欲的に推進したが、日本政府の立場があまりにも強硬で、あきらめるしかなかった」と伝えた。

首脳会談の不発をめぐる真実攻防も激しかった。韓国外交部は「Ｇ７首脳会議をきっかけに韓日首脳会談をすることに合意したが、日本が履行しなかった」と批判した。２０－３０分ほど立ち話をする略式会談に双方が暫定合意したと伝えながらだ。日本も文大統領が先にあいさつをすれば無視できないと判断し、菅首相の問答まで準備していたという。

韓国外交部の当局者は「我々は最初から開かれた姿勢で日本の呼応を期待したが、突然、毎年実施している『東海（トンヘ、日本名・日本海）領土守護訓練』を理由に会談に応じないのは遺憾」と明らかにした。韓国軍の東海領土守護訓練は「独島（ドクト、日本名・竹島）防御訓練」として知られ、１９８６年から毎年上・下半期に実施されてきた。日本政府も直ちに反論した。加藤勝信官房長官「韓国の一方的な 配信は極めて遺憾であり、ただちに韓国側に抗議した」とし「首脳会談は菅首相の日程のために行われなかった」と主張した。

青瓦台（チョンワデ、韓国大統領府）と政府は遺憾と非難を同時に表した。文大統領はＧ７首脳会議後、フェイスブックで「韓日関係の新たな開始になり得る貴重な時間だったが、会談につながらず遺憾」と明らかにした。青瓦台の李哲熙（イ・チョルヒ）政務首席秘書官は「日本が国内政治用に我々を引き込んで活用していると考える」とし「繰り返し違うことを言って蔑視するような態度を見せるのが不快」と指摘した。

こうした中、両国の政界では２３日に開幕する東京オリンピック（五輪）が韓日関係正常化のもう一つのきっかけになるという見方が出ている。２０１８年２月の平昌（ピョンチャン）冬季五輪の開会式当時に安倍晋三首相が訪韓して韓日首脳会談が行われただけに、今回、文大統領が答礼で東京五輪の開会式に出席する場合、自然に首脳会談につながるという期待だ。読売新聞やＮＨＫ放送など日本主要メディアも「両国が東京五輪を迎えて文大統領の訪日を調整中」と関心を表し始めた。スポーツという非政治的イシューがきっかけなら負担が大きく減るという分析だ。

しかし２０日後に「東京会合」が現実化するかはまだ未知数だ。何よりも菅首相と日本政府の立場が不動の姿勢だ。加藤官房長官も日本メディアの相次ぐ報道について「事実無根」とし、拡大解釈を警戒した。韓国もいくら関係改善が急がれるとしても、首脳会談が確定していない状況で文大統領が訪日することはできないという立場に変わりはない。

このため劇的な突破口が用意されない限り、東京五輪という絶好の機会にもかかわらず、結局は文大統領の訪日は不発に終わり、金富謙（キム・ブギョム）首相や黄熙（ファン・ヒ）文化体育観光部長官が代わりに開会式に出席する可能性が高いというのが、外交関係者の見方だ。これに対し政府関係者は「まだすべての可能性が閉じられた状況ではないとみている」とし「開幕式の直前まで外交的な努力を続けていく」と述べた。