【中央時評】コンプレックス民族主義と歴史清算=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.06.29 13:25
金九(キム・グ)は韓国人が最も尊敬する人物のひとりだ。私はそうでない軸に属するが、かなり以前『白凡日誌』を初めて読んで受けた衝撃のためかもしれない。監獄生活の苦痛をありったけぶちまけた後、彼はこう続ける。「妻が若いので体を売ってでも美味いものを持ってきてくれたらとさえ思う」。
今日の政治家が金九のような言葉を残したとすればどうなるだろうか。社会も変わり、人々の意識も変わった。しかし今日、私たちが金九の話をどう思おうが、彼の言葉が当時の社会と人々の意識を反映しているのは事実だ。それを認めることは歴史に対する基本的態度に続く。今日の社会と意識を歴史的状況にかぶせることは、歴史解釈ではなく脚色あるいは創作だ。
朝鮮人旧日本軍慰安婦を民族の聖女と称えたり、自発的売春女性だと貶めたりすることもそうだ。慰安婦の最も主要なアイデンティティは貧困と女性だ。裕福な慰安婦も、男性慰安婦もいない。慰安婦は「貧しい家の娘たち」だった。娘を売る貧しい父親が多かった。金九の言葉からも透けてみえるように、そのような父親を理解する人々が多かった。売買を中継する朝鮮人業者も多かった。