【コラム】猛スピードで進んだ最低賃金に倒れた「社長の国」=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.06.25 14:28
大韓民国は「社長」の国だ。良く言えば社長だが、悪く言えばその日その日の暮らしも大変な零細自営業者が大部分だ。経済協力開発機構(OECD)によると、韓国の自営業者の比率は24.6%(2019年基準)に達する。就業者4人に1人が自営業者ということだ。米国(6.1%)や日本(10%)はもちろん、OECDの平均(16.8%)をはるかに上回る。
商売が順調な人もいなくはないが、廃業寸前の崖っぷちに立たされた人々も多い。最近ではソウル明洞(ミョンドン)・東大門(トンデムン)・梨泰院(イテウォン)などの中心商圏にも空き店舗が続出するほど深刻な状況だ。毎年80万人以上の個人事業者が国税庁に廃業届を出す。廃業までしなくても、毎日ため息だけ吐きながらなんとか持ちこたえているという人も少なくないだろう。韓国銀行は最近の報告書で「雇用員のいる自営業者に集中した雇用衝撃は通貨危機当時とほぼ同じ様子」と指摘した。スタッフを雇って商売をしている自営業者の困難が1990年代後半の国際通貨基金(IMF)の救済金融を受けた時期とほぼ同じ水準ということだ。
文在寅(ムン・ジェイン)政府の所得主導成長は自営業者には恐ろしい悪夢だった。週52時間勤務制は夕方の商売が中心だった一部業種に「夕方に客のない生活」をもたらした。最低賃金の急激な引き上げは自営業者だけでなくアルバイトスタッフにも衝撃だった。相当数の自営業者は人件費の負担によってスタッフを解雇したり、週休手当てのない週15時間未満のアルバイトに切り替えた。フランチャイズ加盟店の中には人を使う代わりに自動化機器を導入したところも多かった。1980年代に学生運動の先頭に立った刺身料理店の主人ハム・ウンギョン氏は「所得主導成長を語った人々は全員詐欺師」と話したことは自営業者の大多数の気持ちを代弁した、胸のすくような発言だった。