世界的に新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）ワクチンの需要が大きく高まり、ワクチンの製造に使われる原副資材の品薄現象が深刻化している。特に、ワクチン培養プロセスに必須の「ビニール袋」がサプライチェーン（供給網）を脅かす要因の一つになっているようだ。ワクチンの生産にはこのビニール袋を含めて数百点の原副資材が必要だ。ファイザーは２８０点以上の材料が必要だが、１９カ国８６カ所から調達しているという。

このビニール袋は細胞を育てる培養装置（バイオリアクター）に合わせてオーダーメードで製作されている医療用ビニール袋で、ワクチン製造工程を短縮するために必須の品目だという。この袋で細胞ウイルスの培養が終わると原液をフィルターに通してワクチンとして製品化する。ある製薬業界関係者は「細胞を培養する時、一般培養タンクで培養過程を経ると、次の培養のためにタンクを洗浄して殺菌しなければならない」とし「ビニール袋を使えば培養した後に袋をまるごと取り出して精製装置に移し、元の場所には新しい袋を取り付けて次の培養ができる」と話した。

コロナワクチンだけでなく、インフルエンザなど他のワクチンを作るときもこのような使い捨てビニール袋が使われる。ところがこれを作る企業は全世界に数カ所しかなく、供給が需要に追いついていない。製薬業界関係者は「米国産が主流で、ドイツなど欧州連合（ＥＵ）製も一部ある」とした。世界最大のワクチン製造会社であるインドのセラム・インスティチュート・オブ・インディア（ＳＩＩ）もまた、米国・欧州からビニール袋の供給を受けているが、最近は供給が足りずノババックスワクチンの生産を増やすためうえで障害物になっていると明らかにしていた。