相続税１２兆ウォンは世界的にも前例がない。アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏の相続税の３倍を越え、最近３年（２０１７～２０１９年）間国税庁が収めた相続税の計１０兆６０００億ウォンより多い。ジョブス氏の死亡当時、遺族に課された税金は２８億ドル（約３０３７億円）だった。ジョブス氏が残した遺産７０億ドルで米国の相続税率４０％を適用した金額だ。外国で子どもに財産を相続する場合、税率はフランス４５％、英国４０％、ドイツ３０％だ。ロイター通信はこの日「サムスン一家の相続税が韓国を含んで全世界で最大規模の一つ」と報じた。

今まで韓国の最大相続税は２０１８年死亡した故具本茂（ク・ボンム）ＬＧ会長の遺族が年賦延納している９２１５億ウォンだ。昨年１月他界した故辛格浩（シン・ギョクホ、重光武雄）ロッテ会長の遺族は韓国に３２００億ウォンを、日本に１３００億ウォンの相続税を納付中だ。サムスン一家は年賦延納を申請して２０２６年まで６回にかけて相続税を分納する計画だ。年賦延納をしても遺族はまず３０日まで２兆ウォン台の相続税を納付しなければならない。

その間、財界ではサムスン一家が相続税を用意するために李会長所有の芸術品を売却したり、サムスン物産がサムスン電子の株式を譲り受けたり（遺贈）するだろうという見方があった。サムスン物産がサムスン電子の株式を贈与してもらえば、遺族は直ちに６兆ウォン程度の相続税を節税することができる。サムスン側は正攻法を選択した。同時に、美術品と医療寄付などを含んで４兆ウォン台の社会還元計画を立てた。匿名を求めた財界関係者は「相続税を含めば相続財産の６０％を出す」と話した。遺族はサムスン電子を通じて「税金納付は国民の当然の義務として当然するべきこと」と明らかにした。

故人が残したサムスンの持分を洪羅喜（ホン・ラヒ）前リウム館長と李副会長、ホテル新羅のイ・ブジン社長、サムスン福祉財団のイ・ソヒョン理事長など遺族がどのように分割するかはこの日、公開しなかった。韓国最大グループの支配構造の変化に直結する懸案なので関心を集めた。サムスン側は「李副会長が拘束状態と家族会議を開くことができなかった」として「近いうち発表する予定」と話した。遺族は２６日、李会長のサムスン生命の持分２０．７６％を共同保有するという内容の大株主変更承認申請書を金融委員会に提出したことがある。彼らは３０日まで各自相続を受けた株式の内訳を国税庁に申告しなければならないが、後ほど修正申告することができる。

財界では李副会長のサムスン電子やサムスン生命、サムスン物産など核心的な系列会社に対する支配構造を維持・拡大する方向で李会長の保有持分が配分されると予想している。これを受け、李会長のサムスン電子株式を李副会長に渡し、サムスン生命の持分を家族４人に分割する方針が有力視されている。サムスンの持分構造は現在、李副会長を頂点にサムスン物産（１９．３％）→サムスン生命（８．５％）→サムスン電子につながる。李副会長はサムスン物産（１７．３３％）とサムスン電子（０．７％）、サムスン生命（０．０６％）の持分を保有している。法廷相続の割合を適用すれば、洪前館長が９分の３、李副会長など３人兄弟姉妹はそれぞれ９分の２の持分を受けることになる。

高麗（コリョ）大学経営学科のパク・ギョンソ教授は「李副会長に株式を集めるかが遺族の最も大きな悩みだろう」とし「あまりにも大きい企業なので経営権防御のための安定的な持分の確保が難しく、したがって、サムスンの支配構造が俎上に上がるしかない」と話した。

故李健熙サムスン会長の贈り物、寄付の歴史を書き直す（１）