米国政府とファイザーに続いてモデルナの最高経営責任者がブースターショット（ｂｏｏｓｔｅｒ　ｓｈｏｔ）を準備すると明らかにし、韓国国内のワクチン需給に影響を与えることが予想される。予定されていた接種分も入っていない中、３回目の接種も考慮しなければいけない状況だ。中央防疫対策本部は１８日、「ブースターショットの追加の確保については、関連情報をモニタリングしながら専門家と議論して決める計画」と原則的な立場を明らかにした。

ブースターショットはインフルエンザ、Ｂ型肝炎・破傷風などほとんどすべてのワクチンにある問題だ。インフルエンザを考えれば理解しやすい。毎年秋にインフルエンザ予防注射を接種する際、新生児は２回する。１回では抗体ができず、２回目のワクチンがブースターショットとなる。その次からは１回だけ接種すればよい。疾病管理庁の関係者は「我々の体の細胞（Ｂ細胞）がインフルエンザワクチンをある程度記憶していて、一度だけ接種すればよい。これも一種のブースターショット」と説明した。

新生児はＢ型肝炎ワクチンも１回では不足し、３回する。３回接種しても抗体が弱ければブースターショットを接種する。疾病管理庁の関係者は「ファイザーやモデルナが昨年臨床試験を終えた後、ワクチンの効果を確認している。これを根拠にブースターショットの必要性を主張するとみられる」とし「抗体持続期間を延長する必要があったり、我々の体が抗体をよく記憶するよう誘導しようとする目的がある」とも話した。

インフルエンザワクチンを接種して抗体が生じれば、インフルエンザに感染しないこともあり、感染しても比較的軽い症状で済む。ところが年が変わればまたワクチンを接種する。インフルエンザの抗体持続期間（約６カ月）が短く、ウイルスが変異するからだ。食品医薬品安全処側は「インフルエンザのワクチンの免疫が永遠に続くのではないように、新型コロナも同じだと予想する。さらに新型コロナウイルスは変異が多く、これを解決するためにブースターショットの必要性が出てくる」と伝えた。

ファイザーとモデルナは最近、２回接種すれば強い抗体ができ、６カ月間は新型コロナウイルスを無力化するという事実を公開した。ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者は米ＣＮＢＣのインタビューで、「２回目の接種後６カ月から１年の間に３回目の接種をしたり、毎年ワクチンを接種をしたりすることになるかもしれない」とし「ただ、どれも確認されていない」と述べた。ジョンソン・エンド・ジョンソンのアレックス・ゴースキー最高経営責任者も「インフルエンザのように新型コロナも毎年ワクチンを接種することになる可能性がある」と話した。

ファイザーとモデルナはすでにブースターショット研究に着手した。米時事週刊誌タイムは最近の記事で「ファイザーが初期の臨床試験参加者を対象に３回接種の研究を始め、南アフリカ変異ウイルス（Ｂ．１．３５１）に対抗する新しいバージョンのワクチン開発に着手した」と報じた。モデルナも動物試験で南アフリカ変異ウイルスに強力な新しいワクチンを確認し、先月、ブースターショットのテストを始めた。

食品医薬品安全処は「ファイザーは同じワクチンをブースターショットに活用しようとする半面、相対的に変異に活性度が落ちるという評価を受けるモデルナは従来の機能に変異対応能力を混ぜてブースターショットを開発しようとするようだ」と述べた。

アストラゼネカ、ヤンセンのワクチンもブースターショット問題を研究しているとみられる。しかし現在は血栓という「生存問題」にぶつかり、ブースターショットに対する立場を表していない。

ブースターショットが必要ない状況も考えられる。新型コロナワクチンについてはまだ不明な点が少なくないからだ。２０１３－１６年にギニアやリベリアなど西アフリカを襲ったエボラをワクチンがほぼ終息させたように、新型コロナワクチンが同じような役割をする可能性もある。２００９年に新型インフルエンザの革新的治療剤タミフルが登場し、ワクチンとシナジー効果を出しながら抑え込んだが、新型コロナもこうした状況がくるかもしれない。

ただ、それを確認するまではかなりの時間がかかると予想される。さらに米国が３回目の接種物量の確保に出れば、欧州も同じ動きを見せる可能性が高い。欧州連合（ＥＵ）は２０２２－２３年の１８億回分を確保しようとファイザーとの交渉に入った。オーストラリアも追加で購買する動きだ。こうした理由でワクチン不足がさらに深刻になれば、韓国の状況はさらに悪化することが予想される。