オバマ氏が絶賛した小説『パチンコ』…韓国系作家にインスピレーション与えたウェイターの叔父
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.04.09 14:32
最初の書き出しはどんな文章でも難しい。「最初の一文を書く方法」とグーグルの検索ボックスに入力すると多く登場する小説家の一人が韓国系米国人、ミン・ジン・リー(Min Jin Lee・イ・ミンジン)氏だ。バラク・オバマ元大統領が推薦した英語小説『Pachinko(パチンコ)』と、『Free Food for Millionaires(億万長者のただ食らい)』の最初の書き出しはあまりにも有名だ。前者は「History has failed us but no matter(歴史が私たちを見捨てようと、関係ない。)」で、後者は「能力があるというのは呪いかもしれない。(Competence can be a curse)」で始まる。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)ブックセクションは7日(現地時間)、リー氏の寄稿文を載せた。最初の一文はこのように始まる。「この一年のほとんどを、私は(ニューヨークの)ハーレムのすきま風が強い自分の部屋で過ごしたが、南向きの窓から水がぽたぽた落ちるの見て天気が良くないことを察することがあった」。リー氏も新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)による隔離生活でストレスを受けていたのだと察することができる。室内に隔離された生活の中で書かれた文だからだ。新型コロナが作家の作品世界にも大きな影響が及ぼしていたことをうかがい知ることができる。
しかし、リー氏が新型コロナをめぐって語ろうとしているのは絶望ではなく希望だ。自伝的小説に長けた彼女らしく、今回のNYT寄稿文も新型コロナ事態の渦中に亡くなった叔父の物語から始まっている。ジョン・Y・キムという名前のリー氏の叔父は韓国戦争(朝鮮戦争)後に渡米した。ウェイターとして働きながら生計を立てたが、料理を運んで片づける彼はいつも腹がすいていた。リー氏は「叔父は客が残した食べ物に手をつけたら解雇すると脅されていた」とし「ウェイターにはまかないは出なかったが、一生懸命に稼いだ」と伝えた。そのような叔父が安らぎを求めたのは地域にある図書館だった。