【時視各角】『朝鮮駆魔師』の教訓
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.03.31 14:11
初放送から打ち切りまでわずか4日、史上初の事態だった。歴史わい曲論争と反中感情で視聴者の不満が殺到して2話で電撃放映終了が決まったSBSドラマ『朝鮮駆魔師』のことだ。オンライン論争で放送通信審議委員会への嘆願、青瓦台(チョンワデ、大統領府)国民請願、広告主への圧迫まで一糸不乱の動きが続いた。
『朝鮮駆魔師』は悪霊に取り憑かれた朝鮮太宗と王子が悪行を行い、バチカンから来たカトリック駆魔司祭の助けを受けるというファンタジー時代劇だ。現実とはかけ離れた話だが、中国風の小道具や衣装などの考証問題、殺人魔になった太宗や「聖君の表象」の忠寧大君〔世宗(セジョン)〕に対する否定的な描写が反感を買った。ドラマ製作会社の親会社であるYGエンターテインメントに中国資本が入り、さらに脚本を書いたパク・ケオク作家が韓中合作製作会社と契約関係だったというのも論争を大きくした。「チャイナマネー」を通した「文化東北工程」の一環、あるいは悪意の韓国歴史蔑視疑惑が登場した。
製作会社は「ファンタジーフュージョン時代劇で、実存人物を借用して恐怖の現実性を伝えてファンタジー的想像力にフォーカスを合わせようとした」と説明した。しかし、歴史的事実に対する再解釈とひねりはいくらでも可能だが、問題意識も脈絡もなくただ「現実的恐怖感」のために歴史を脇役に立てるのは別の問題だ。パク・ケオク作家は前作『哲仁王后』(tvN)でも現代の男性が朝鮮王妃の身体に入る「トランスジェンダー状況」など独特の設定でストーリーを書いたが、実存人物にこだわり歴史わい曲論争に巻き込まれた。時代劇ジャンルに対する安易な認識を見せている。