ソウル江南（カンナム）圏のある大企業に通うチェさん（３８）は昨年、麻浦区阿ヒョン洞（マポグ・アヒョンドン）の７８平方メートル（約２４坪）マンションに伝貰（チョンセ、契約の際に家主に一定金額の保証金を預け、月々の賃貸料は発生しない不動産賃貸方式）を出して京畿道高陽市道乃洞（キョンギド・コヤンシ・トネドン）の３０坪マンションに伝貰で入居した。チェさんは「子供が育ちながら職場と近いところにもう少し広い住宅を購入したかったが、とても高かった」として「共稼ぎで３歳の子どもの保育問題もあり、妻の実家がある高陽市に引っ越すことになった」と話した。

１５歳・９歳の子どもを持つパクさん（４６）は塾の多い地域を探していたが、江南（カンナム）圏は住居価格のために考慮対象から除外し、１年前にソウル冠岳区新林洞（クァナクク・シルリムドン）の３４坪マンションから京畿道坪村（ピョンチョン）塾街にある３２坪マンションに引っ越した。パクさんは「木洞（モクドン）と坪村の間で悩んでいたが、モクドンの住居価格がさらに高く、坪村に緑地施設が多くてこちらを選んだ」と話した。

「脱ソウル」人口が増加している。３日、ソウル市によると、昨年末基準でソウル人口は９９１万１０８８人で、３２年ぶりに１０００万人割れとなった。前年比増減率は２０１９年マイナス０．３８％からマイナス１％になった。

ソウルを抜け出す主な原因としては不動産が挙げられる。ＫＢ不動産リーブオンによると、２０１４年１２月４億９１７７万ウォンだったソウルの平均マンション価格は２０２０年１２月１０億４２９９万ウォン（約９９０８万円）に上がった。同じ期間にソウル人口は１０３６万９５９３人から９９１万１０８８人に減った。

住居価格と関係なく良い環境を探して自発的にソウルを抜け出す事例もある。俳優兼モデルのクァク・ジヒョンさん（３３）はソウルの粒子状物質を避けて昨年４月夫・娘とともに江原道襄陽郡県南面（カンウォンド・ヤンヤングン・ヒョンナムミョン）に定着した。一生ソウルで暮らしてきたクァクさんは３年前に娘が生まれてからこのように粒子状物質が多い所で子どもが外で遊ぶことができるか悩んだという。

「脱ソウル」に対する満足度は少しずつ異なった。チェさんは「職場まで地域内バス・地下鉄で１時間４０分程度がかかり、銀行に行くためには車に乗らなければならないが、子どもが快適で安全に遊ぶことができる空間が多い点は良い」としつつも「実際、押されるように京畿道に引っ越してきた面もあり、子どもが小学校に入学するごろには再びソウルに戻る計画」と話した。パクさんも同じ考えだったが、坪村に１年程度暮らした今はずっと暮らしても良いという方向に気が向いた。

ＫＢ国民銀行のパク・ウォンガプ不動産首席専門委員は「自発的な選択もあるが、最近では一つの巨大な城になってしまったソウルから押された人々が多いだろう」とし、「住居価格が暴落しない限り、当分『脱ソウル』現象は続くものとみられる」と話した。