【コラム】「イワシ1グラム、バナナ6個」…痛烈な比較が原発怪談を鎮圧した(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.02.04 11:23
知らなければだまされる。よく知らない概念と用語が登場する科学の領域ではなおさらだ。専門家の攻防についていくのではなく、信じたいことだけを信じる確証バイアスに陥りやすい。その結果は恐怖を滋養分とするフェイクニュースと怪談の登場だ。BSE(牛海綿状脳症)、THAAD(高高度防衛ミサイル)配備をめぐる騒動がそうだった。
最近の月城(ウォルソン)原発のトリチウム(三重水素)をめぐる論争も、BSE(牛海綿状脳症)やTHAAD怪談のデジャブになるところだった。月城原発の集水井で基準値を超過するトリチウムが発見されたという地域放送の報道を受け、原子力工学者と脱原発勢力の間で攻防が生じた。ところが雰囲気は過去のBSE事態やTHAAD騒動とはやや違った。官民合同調査団が現場調査をするなど論争はまだ完全には収まっていないが、脱原発陣営の主張が一方的に増幅する状況ではない。調査団に原子力専門家らが含まれたこと自体がその証拠だ。トリチウム論争は漠然とした恐怖の対象ではなく、科学的な検証と討論の領域へと移った。何が怪談を早期に鎮圧したのだろうか。蔓延するフェイクニュースに対する効果的な対応として注目を集める。