「父がいない空白は大きい」未来の収益源に悩み深まる辛東彬ロッテグループ会長
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2021.01.24 12:12
「父である以前に私には大きな師匠でもあった。困難な時に最も必要なことは、それを克服していくという固い意志だという父の言葉を思い出してやり抜きたい」。辛東彬(シン・ドンビン、重光昭夫)ロッテグループ会長は辛格浩(シン・ギョクホ、重光武雄)名誉会長死去から1年となる18日にユーチューブに公開した動画で、「父の抜けた空白がこれほど大きいということを改めて感じる」としてこのように話した。ロッテグループは辛名誉会長の1周忌を迎え追悼のため18日から22日までオンライン追慕館を運営した。
辛会長が直面した現実に対する悩みは、彼の「思父曲」にそのまま盛り込まれている。ロッテグループは半導体もなく、電気自動車用バッテリーもない。非対面時代が本格化しているが主力事業は依然として「オフライン」にとどまっている。未来の収益源を確保できていないが、既存の収益源は減り続けているのだ。
ロッテのこうした現実は昨年の10大グループの時価総額だけ見てもわかる。韓国取引所によると、昨年の10大グループの時価総額は約42.2%増加したが、ロッテは唯一2.24%の減少となった。主力がホテルと消費財であるだけに、新型コロナウイルスの余波で打撃を受けた系列会社が多くもあったが、体質改善や未来の収益源に対する検討が足らなかったのではないのかとの評価が出ている。例えばロッテショッピングの昨年7-9月期までの累積売り上げは12兆2285億ウォンで前年同期より8.1%減った。これと違い競合会社である新世界グループのイーマートは昨年に前年より5.9%増加した15兆5353億ウォンの売り上げを記録した。そうかと思えばサムスン、現代自動車、SKなど他の大企業は半導体や電気自動車、バッテリーなどで具体的な成果を出し、新型コロナウイルスの渦中でも好調だった。韓国企業評価のペ・インヘ責任研究員は「高高度防衛ミサイル(THAAD)や贈賄事件裁判、辛東彬会長の拘束などグループ内外で試練が相次ぎ、市場変化などに対する対処が不十分だった部分がある」と評価した。