【時視各角】行くことができない国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.01.22 10:43
すい臓がんが肝臓に広がった当時のスティーブ・ジョブズの話だ。肝移植のために2009年1月にカリフォルニア州待機者名簿に名前を載せたが、富豪であれ権力者であれ合法的な方法で「割り込み」が不可能なのが米国だ。すべての寄贈は公式ウェブサイトでデータを確認でき、誰でもいつでも状況を見ることができるためだ。ジョブズは6カ月ほど待たなければならなかったが、医者らはジョブズの肝臓が4月には機能が止まるだろうと話した。
他州に名前を載せるのが唯一の迂回路だった。同時に2州まで登録するのは法で認められるが、その場合は条件が付く。8時間以内に指定病院に到着しなければならず、主治医が許諾が必要だ。ジョブズの専用機は条件を満たしたが、微妙だった。2009年3月21日、20代の青年が交通事故で死亡したことで臓器寄贈を受けることができた。ジョブズは「その時に死ぬところだった」と後に自叙伝に書いた。