「Ｋ防疫の実体は検査者数を減らすことだ。巧妙に感染者数だけ前に出して操作する詐欺防疫だ」

ある保守ユーチューバーの主張だ。新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）第３波が本格化し、「政府がコロナ検査数を調節し、感染者が少なく見えるように操作してきた」という主張がＹｏｕＴｕｂｅ（ユーチューブ）やオンライン掲示板などで広がっている。このような主張する人々は「若年層・無症状感染を勘案すれば、他の国々のように検査を多くすると感染者数がさらに爆発していただろう」という論理を展開する。彼らの主張はどれくらい信憑性があるのか。

疾病管理庁中央防疫対策本部によると、１５日午前０時基準、韓国の新型コロナ感染者数は４万４３６４人。このうち６００人が死亡して致命率は１．３５％だ。これまで韓国内で実施された新型コロナ検査は３４４万１２２０件だ。

◆先進国に比べて検査低調は事実

英国オックスフォード研究チームが作った民間統計サイト「Ｏｕｒ　Ｗｏｒｌｄ　ｉｎ　Ｄａｔａ」によると、韓国の新型コロナ診断検査数は１０００人あたり６４．５２件で１１２カ国中６４位だ。米国民間統計サイト「Ｗｏｒｌｄｏｍｅｔｅｒ」を基準としてみると、人口１００万人あたり検査６万６２３３件で２２０カ国中１３０位であることが分かった。米国（１００万人当たり６７万１７０３）・英国（７０万８４５３）・フランス（４４万６６８７）・ドイツ（３６万３４３０）に比べると明らかに少ない。反面、日本（３万２０５７）に比べると２倍ほど多い。

専門家は韓国の診断検査数が比較的少ないのは事実だが、政府が意図的に感染者を調節したという主張の根拠にはなりえないと説明する。高麗（コリョ）大医大予防医学科のチェ・ジェウク教授は「韓国の検査数が少ない最大の原因は患者自体が少ないため検査が少なかったからだ。その間、他の国はわれわれよりも検査対象の基準と検査方法を拡大してきた。潜在患者を多く捜し出そうとして拡大した部分もあるが、患者が多すぎて検査を急ピッチで進めたところそうなった側面が大きい」と指摘した。

比較対象である各国の感染者数をみると、米国１６９４万２９８０人、英国１８６万９６６６人、フランス２３７万９９１５人、ドイツ１３５万７１４１人、日本１７万９６５３人など、韓国より少なくて４倍、多くて４００倍ほど多い。多くの国々が感染者と接触したり、疑い症状がある場合、検査を実施するため検査数と感染者数が比例しなければならない。

チェ教授は「政府が意図を持って数字を統制して感染者数字を調整したわけではない。ただし、政府がこれまで検査対象者の基準を非常に狭く捉えて潜在感染者を攻撃的に捜し出せなかったほか、地域社会感染を早期に突き止めることができず疑惑を自ら招いた側面があると思う」と話した。

ソウル大病院家庭医学科のユン・ヨンホ教授は「もしわざと検査を少なくしたとすれば、今よりもはるかに拡大ペースが速く、感染者数もはるかに急激に増えていただろう」としながら「これまで無症状感染者がいたが、社会的距離の確保（ソーシャル・ディスタンシング）で彼らによる拡散速度が遅かったとすると、最近社会的距離の確保がまともに機能せず防疫規則を守らない人々がとても多くなり感染者が急増した。個人の疲労も、政府の手ぬるい対処と紛らわしいメッセージなどで警戒心が緩んだのが第３波の最も大きな原因」と指摘した。

◆「韓国の実際の感染率確診者２．６倍、イタリア１７．５倍」

ソウル大医大医療管理学科のキム・ユン教授は「新型コロナ感染者数と実際の感染規模は違うであろうし、国ごとにこの規模に大きな差があるという研究がある。これによると、韓国の実際の感染規模はむしろ検査を多く実施した英国の１００分１水準で少ないだろうとの推定が出ている」とし、オーストラリア国立大（ＡＮＵ）が先月出した研究結果を紹介した。研究チームは「特定国家の新型コロナ死亡者統計を分析した後、その死亡者に到達するためにどれくらい多くの人が感染しなければならないかを逆算した」と説明した。

研究結果によると、主要国家の実際のコロナ感染率は公式に報告されているよりもはるかに高く、実際のコロナ感染率は公式に報告された数の平均６．２倍さらに高いと推定されている。研究チームはフランス・イタリア・英国とのような一部国家の公式感染者（陽性判定を受けた感染者）数は実際の感染事例の１０％水準にすぎないと推定した。

韓国の実際の感染件数は報告されている数値よりも少なくとも２．６倍多く、イタリアは実際の感染者数は公式統計よりも１７．５倍多いと推定した。キム教授は「科学的根拠がない陰謀説は新型コロナ危機状況に何の助けにもならない」と批判した。