【社説】同盟の危機を見せた韓米安保協議
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.10.16 10:32
14日(現地時間)に米ワシントンで開催された韓米定例安保協議(SCM)は「乱脈」という表現がふさわしい韓米同盟の現状を赤裸々に見せた。徐旭(ソ・ウク)韓国国防長官とエスパー米国防長官は核心懸案の戦時作戦権転換問題から「早期に条件具備」(徐旭)、「時間がかかる」(エスパー長官)と見解の違いを表した。また、エスパー長官は在韓米軍駐留問題に言及しながら防衛費分担金の増額を要求し、両長官の共同声明からは「在韓米軍の現水準維持」という言葉が抜けた。予定されていた記者会見は取り消しになった。歴代SCMで初めての「事故」だ。
同盟の間でも国益によって異見はあり得る。しかし同盟の根本価値である「大韓民国防衛」で亀裂が生じてはいけない。代表的なのが戦作権の転換だ。韓米は2014年、戦作権転換の条件として韓国軍の連合作戦能力、北核への初期対応能力、韓半島(朝鮮半島)周辺の安保環境の3つを考慮することで合意した。6年後の現在、3つの条件はどれ一つとして満たされず、むしろ悪化している。先週末に平壌(ピョンヤン)で開催された労働党創建75周年記念閲兵式(軍事パレード)には核弾頭2、3個を一度に搭載できる特大型ICBMが登場し、大韓民国を狙った通常兵器も日進月歩したレベルを誇示した。しかし韓国軍は3年間、韓米諸兵協同訓練を一度も実施せず、在韓米軍司令官が公開的に懸念を表している状況だ。さらにコロナ事態のため連合指揮能力の検証まで不可能になった。にもかかわらず韓国軍首脳部はSCMを控えて「戦作権転換条件を緩和して時期を操り上げることができる」と発言し、懸念をもたらした。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「任期内の戦作権転換」公約を意識し、条件が満たされていない中で無理に戦作権の早期転換を強行しているという批判が出ている。戦作権の転換は大統領の任期内でなく、軍の防衛力量が十分に整ってこそ可能であることを忘れてはいけない。