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世界の灯台工場、今年10カ所追加…韓国はひとつもない

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.10.12 10:45
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世界経済フォーラム(WEF)は世界的コンサルティング企業のマッキンゼーとともに世界の製造業の変化を率いるライトハウス(灯台)工場10カ所を最近新たに選定した。デジタル化、高度化と予測分析、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)、産業用モノのインターネット(IIoT)など第4次産業革命技術を先導的に導入し、灯台のように製造業の未来を案内する工場だ。2018年からこれまで54カ所の灯台工場が選ばれ、24カ所がアジアにある。中国は15カ所あるが韓国は昨年7月に選ばれたポスコが唯一だ。韓国企業は今年1カ所も選ばれなかった。

灯台工場は第4次産業革命技術を積極的に活用し▽柔軟性と顧客中心▽弾力的なサプライチェーン▽速度と生産性向上▽親環境の4種類の革新に成功した。

 
中国・杭州にあるアリババの迅犀デジタル衣類工場が代表的だ。創業者の馬雲氏が2018年に提示した新製造戦略の圧縮版だ。人工知能(AI)やIoTなどを活用して需要予測から注文、服地切断、縫製、洗濯、配送に至る過程をデジタル化した。同じ材料を使う複数の衣類注文を同時に処理して生地の浪費を減らし、AI技術を活用したレーザー切断機はミスを減らした。洗濯過程でも水の消費を50%減らした。迅犀工場は最小100枚の少量注文生産が可能ながらも製品発売までの期間は既存の75%、在庫は43%減少させた。

データ活用基盤の構築は必須だ。ドイツの産業自動化ソリューション企業フェニックスコンタクトは情報を含んだICタグ(RFID)を活用し、デザインから配送までの全生産過程をデータ化して生産時間を30%減らし、性能を40%向上した。サウジアラビアのアラムコはドローンを飛ばして石油生産プラントに散在しているパイプラインと機械類を検査・分析し検査時間を90%短縮した。

◇AIが管理するユニリーバ合肥「灯台工場」コロナでも生産10%増える

さまざまな生産設備のセンサーが互いに数千万個の情報をやりとりする生産ラインで100種類以上の製品を生産し(シーメンス中国成都工場)、リアルタイムでサプライチェーンを把握するプラットフォームを構築して1700万ドル相当の在庫を減らし(アイルランド・ヤンセン)、IoTを活用して現場ですぐにコストを計算する(イタリア・ロルド)企業もある。

バリューチェーン(付加価値が生成される過程)をデジタル化してビジネスモデルの革新を成し遂げたりもする。中国・上海自動車グループのマクサスは大量生産が難しいオーダーメード型自動車の工程を革新した。顧客はオンラインでオーダーメード型自動車を注文し製作過程を追跡する。会社は3次元シミュレーションでデザインした後、これに合わせて部品の配送を受け、AIで品質をチェックする。購入・生産・在庫・物流などを自動管理するシステムを備えたマクサスは注文受付から4週間以内に配送を終わらせるのが目標だ。発売までの期間を35%減らし、別途の時間やコストを増やすことなくオーダーメード生産体系の効率性を高めた。

英ユニリーバの中国・合肥工場は新型コロナウイルス危機を迎え、生産プロセス全般にわたってデジタルとAIを導入した。自宅で生産ラインのモニタリングを可能にし、問題をすぐに見つけて修正できるようにした。おかげで新型コロナウイルス期間中にも1日の生産量は10%増えた。またAIがリサイクル残熱を工場の電力に活用する方式で蒸気消費量を93%減らした。

灯台工場の過半数はデジタル能力の構築に積極的だ。世界的石油化学企業のトルコのペトキムはデジタルアカデミーを社内に構築してAR・VRで社員を教育する。インドネシアペトロはゲーミフィケーション(ゲーム的要素を組み合わせて使用者の没入を引き出し動機を付与すること)を活用してデジタル技術を習得させる。最高経営陣の参加度が高く、これを管理・支援する革新組織を構築しているのも共通分母だ。アンケート調査の結果、社員の満足度は10点満点中8点で他の一般企業に比べて高い。

成果は数値で現れる。一般企業と比較して生産性は最大200%高く、新製品発売期間最大90%短縮、運営費用最大45%節約などの成果を出した。

韓国は半導体と自動車、化学、鉄鋼、造船などで世界的企業を保有しているが、灯台工場はただ1カ所にすぎない。数年にわたりパイロット運用ばかり繰り返している企業の革新意志不足を主要な理由に挙げたい。こうした現象をパイロットパーガトリー(パイロット煉獄)と呼ぶ。世界の製造業者の70%がパイロットパーガトリーに閉じ込められているものと把握される。だが韓国企業は短期費用に対する心配、新システムに対する疑念が他の競争国より大きい方だ。果敢な企業文化革新と企業環境造成も必要だ。より積極的な規制緩和、柔軟な制度運用などが後押しされるならば企業の第4次産業革命技術適用が活気を帯びるだろう。

経営の不確実性が大きくなる状況で灯台工場の技術革新は危機克服の核心キーとして作用する。灯台工場と他の企業との間隙は新型コロナウイルス後にさらに大きくなると予想する。

チェ・スンヒョク/マッキンゼー韓国事務所パートナー

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