【社説】「心痛む」発言の2日後にまた終戦宣言に言及した文大統領
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.10.09 13:54
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が8日、また「終戦宣言こそが韓半島(朝鮮半島)平和の開始」と述べた。先月23日の国連総会演説から半月ぶりに同語を反覆したのだ。その演説放送の4、5時間前に北朝鮮が韓国海洋水産部の公務員イさん(47)を射殺して遺体を燃やしたにもかかわらず、文大統領側は「録画済みの内容だった」として放送を送り出した。続いて銃殺された公務員を「越北者」とし、国民の生命を守れなかった責任を回避しようとする姿を見せた。死亡した公務員の高校生の息子が「父は北に行くような人ではない。この苦痛の主人公が大統領の子どもや孫であっても今のようにできるのか」という書簡を送ると、文大統領は一昨日「私も心が痛む。調査の結果を見守ろう」と返信した。ところがその返信のインクが乾かないうちに文大統領はまた終戦宣言の正当性を強調したのだ。「非核化は消えて久しく、自国国民が銃殺されて燃やされても、大統領の頭の中には終戦宣言と偽の平和しかない」という劉承ミン(ユ・スンミン)元議員のメッセージは誇張に聞こえない。
平和を望まない人はいない。しかし何事にも順序がある。北朝鮮は今この瞬間にも核物質の濃縮を続けながら20-60個と推算される核兵器の数を増やしている。このような状況で性急に終戦宣言をすれば、北朝鮮の核武装を抑止する唯一の手段である国際社会の北朝鮮制裁は動力を失ってしまう。大韓民国の防衛の中心軸である国連軍司令部と在韓米軍も「戦争のリスクは消えたのに存在する理由があるのか」という左派勢力の攻撃に直面するだろう。こうした状況を迎えれば北朝鮮は核武装の強度をさらに高め、大韓民国を都合よく操ることになるはずだ。言葉だけのそのような終戦宣言の終着点は、韓国の安保の壊滅と北朝鮮の「核保有国」入りだけだ。