【コラム】「世の中で最も悲しく残忍な株式ラリー」=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.09.30 10:28
株価上昇を意味するラリーは気分がいい言葉だ。クリスマスを控えたサンタラリー、夏休みを控えたサマーラリーなどが代表的な例だ。しかし今回は違う。最近の株価急騰について、米CNBC放送は「世の中で最も悲しくて残忍なラリー」と表現した。米国民の90%が社会的隔離や封鎖などコロナで苦痛を受けている半面、株式とファンドを保有する上位10%だけが大きな流動性を背にして甘いラリーを楽しんでいるからだ。ウォール街も社会的弱者の犠牲と相対的な剥奪感を意識して「史上最も憎まれるラリー」と認めている。コロナが呼んだ悲劇だ。
米国ヘッジファンドが株式を無差別に買う理由は単純だ。コロナに対抗して天文学的な資金が供給されるからだ。コロナによる米国経済の損失額は3兆7000億ドルと推算される。しかし米連邦準備制度理事会(FRB)とトランプ政権が注ぎ込む資金は12兆ドルにのぼる。こうした莫大な流動性で資産価格が上がると見ているのだ。さらに2008年の金融危機当時は「サブプライム事態を引き起こした金融機関をなぜ血税で助けるのか」という政治的な非難を気にしていた。しかし今回は大胆だ。米与野党は中国発コロナ恐怖のほか、11月の大統領選挙を控え、お互い金融緩和に血眼になっている。現金中毒と変わらない。
韓国も資金を大規模に供給している。コロナ事態の6カ月間に140兆ウォン(約12兆6500億円)も投じた。しかし資金が消費・投資など実物経済でなく不動産・株式に大きく傾き、資産バブルを招いた。ソウルのマンション取引価格は現政権に入って45%も上昇し、個人投資家は融資を受けて株を買っている。一方、コロナ拡大による消費減少に苦しむ自営業者・零細企業には豊富な流動性は他国の話のように聞こえる。今年4-6月期の卸小売・宿泊・飲食店業への融資は18兆8000億ウォンと、過去最高となった。事実上、借金に頼って生存する局面だ。深刻な「動脈貨幣」で一方は流動性の豪雨で、別の一方は深刻な流動性不足で疲弊している。