【社説】国民感情に火をつける「金正恩擁護」=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.09.28 11:09
韓国の国民が北朝鮮軍に殺害されたにもかかわらず、責任ある与党側の人たちが北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を事実上称賛した。今回の事件の本質は、北朝鮮軍が海で行方不明になった韓国国民を救助するどころか銃で射殺した後に燃やしたという反倫理的な行為だ。殺害されたイさんは韓国海洋水産部の公務員であり、海に落ちた後、浮遊物にしがみつきながら約30キロ漂流した。北朝鮮軍に発見された時は力尽きた状態だったはずだ。北朝鮮は国際規範に基づき遭難者を救助すべきだった。しかもイさんは非武装状態だった。金委員長は非難世論が強まると、3日後に謝罪性の通知文を送った。人を殺害した後に「申し訳ない」という格好だ。
にもかかわらず一部の人たちはあきれるような表現で、北朝鮮の残酷な行為に怒りを感じている国民感情に火をつけた。柳時敏(ユ・シミン)盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団理事長は金委員長を「啓蒙君主」に例えた。柳理事長は25日、ユーチューブのライブ配信で金委員長の通知文が伝えられると「(迅速な謝罪は)我々が望んだ朗報」とし「(金委員長は)啓蒙君主のようだ」と語った。共に出演した丁世鉉(チョン・セヒョン)平和統一諮問会議首席副議長は「(金委員長は)度量が大きいところがある」と称えた。北朝鮮がイさんの遺体を海上で燃やした蛮行についても「残った残余物に対して防疫規定に基づき焼却措置を取ったとすれば理解できる」とかばった。北朝鮮の反倫理的行為に免罪符を与えたのだ。大韓民国の統一部長官を務めたという彼の経歴が疑われる。さらにこの日のユーチューブ参加者は北朝鮮の通知文を喜ぶように笑ったりもした。国民が犠牲になった状況でどうすれば笑いが出るのだろうか。李仁栄(イ・インヨン)統一部長官も同日、国会で「(北朝鮮最高指導者が)『申し訳ない』という表現を2回も使ったのは初めて」と金委員長を擁護した。