「我々はみんなが使いたいと考える貯金箱だ」。

トランプ米大統領は就任初期の２０１７年４月、ホワイトハウスで参謀と外国産鉄鋼・アルミニウムに対する関税賦課を議論中、突然、韓国に言及しながら「我々を利用している」と語った。

関税賦課に反対する参謀はトランプ大統領に反論した。するとトランプ大統領は「全世界が我々を利用している。今は変化が必要な時だ」とし「韓国から離れたい（在韓米軍を撤収させたい）」という発言をした。

米国は韓国人を保護するため韓国に米軍３万人を駐留させる費用を負担していると主張しながら米国を豚の貯金箱に例えたと、ワシントンポストのボブ・ウッドワード副編集長が１５日に出版する予定の新刊『ＲＡＧＥ（怒り）』で明らかにした。

トランプ大統領が同盟を眺める目は、経済・軍事分野を問わず「米国を搾取する」という否定的な結論にいたる。トランプ大統領は米国に輸入されるすべての鉄鋼・アルミニウム製品に関税を賦課する計画を説明し、貿易赤字の話が出ると韓国を取り上げた。

参謀は引き止めたが効果はなかった。当時のゲーリー・コーン大統領首席経済顧問は「米国は消費主導の経済であり、輸入製品の関税引き上げで価格が上がれば国内総生産（ＧＤＰ）に打撃を与えかねない」と言って反対した。また「米国は鉄鋼生産国でなく商品製造国」とし「鉄鋼価格を上げれば商品価格も上がり、競争力が落ちる」とも説明した。しかしトランプ大統領の返答は「すべてのことを心配すべきではない」だったという。

トランプ大統領は「ライトハイザー通商代表部（ＵＳＴＲ）代表とロス商務長官は非常に弱い交渉家」とし、鉄鋼交渉を ナバロ米大統領補佐官（通商担当）に任せた。トランプ大統領は「私の将軍はみんな臆病者だ。彼らは貿易交渉よりも同盟のことを考える」と皮肉った。

トランプ大統領は２０１７年１１月に初めて訪韓した当時、ヘリコプターに乗って江南（カンナム）上空を通過し、瑞草洞（ソチョドン）サムスンタウンと高速道路を眺めながら「この国は金持ちだ」と語った。高層ビルや高速道路インフラ、高速列車などを指しながら「彼らはこれらすべてのものにお金を出すべきだが、我々がすべて出している」と主張した。

トランプ大統領を案内した当時のブルックス韓米連合司令官は「米国の存在のおかげで韓国が豊かになったのは事実だが、韓国人は資本主義的な民主主義と軍事教理・慣習・慣例に基づいて国を運営し、米国のＤＮＡを持つことになった」と説明した。続いて「韓国経済と韓国そのものが、同盟関係が長時間にわたり強化された場合にもたらし得る結果を見せている」と主張した。

ウッドワード氏がインタビューで「北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）と韓国は米国がした最高の取引」という軍の立場を伝えると、トランプ大統領は「ぞっとする取引だ。我々は韓国を北朝鮮から保護しているが、彼ら（韓国）はテレビや船舶、ほかのすべてのもので巨額を稼ぐ」とし「彼らは大金を稼ぐ。我々は１００億ドルの費用がかかる。我々はカモだ」と話した。

ウッドワード氏は韓国に在韓米軍を駐留させるために毎年かかる費用は４５億ドルであり、うち韓国政府が９億２０００万ドルを負担していると計算した。

ウッドワード氏は、トランプ大統領が１年以上にわたり金正恩（キム・ジョンウン）と暴言を交わし合いながらも直接会うことを決めた理由を尋ねた。トランプ大統領は「少し複雑だ。私は常にこの一つの質問をする。我々はなぜ韓国を防御するのか」と問い返した。トランプ大統領は韓国に軍隊３万人を駐留させるために米国は多くの資産を失ったと主張した。

トランプ大統領は「韓国は裕福な国だ」とし「我々があなたを防御していて、あなたが存在できるように許容していると言える」と発言した。ウッドワード氏は韓国の存在自体が米国が許容（ａｌｌｏｗｉｎｇ）することにかかっているという、トランプ大統領の極端な発言に驚いたと、著書に書いた。

トランプ大統領は「米国はなぜ韓国を防御しなければいけないのか」を繰り返し尋ねた。また「我々は８５００マイルも離れているが、なぜ配慮して韓国の代わりに戦う準備ができた米軍を３万人も配置したのだろうか」と反問した。

日本に対しても同じ質問をしてきたという。トランプ大統領は「私の友人の安倍首相に『あなたの国は裕福だが、なぜ我々はあなたたちを保護し、あなたたちは我々に非常に少ない費用を支払っているのか』と尋ねた」と伝えた。

トランプ大統領は「既得権層（ｔｈｅ　ｅｓｔａｂｌｉｓｈｍｅｎｔ）はこの質問を嫌う。それは、既得権層がどれほどまぬけであるかを見せている」と話した。

ウッドワード氏は「米軍指導部は在韓米軍を韓国に駐留させることで数十年間にわたりアジアの平和を維持してきたと信じていて、長期間うまくいった韓国との同盟関係は費用が非常に安い（ｉｔ’ｓ　ｂａｒｇａｉｎ）」と書いた。