２０１７年５月に発足した文在寅（ムン・ジェイン）政権は日帝強占期の親日と解放後の独裁に起因する３不（不平等・不公正・不正腐敗）を取り除く再造山河（国の再建）を標ぼうした。検察改革、所得主導成長、脱原発、不動産安定化などがその主要政策だ。

あれから３年余りが経過した。チョ・グク前法務長官事態、蔚山（ウルサン）市長選挙疑惑、尹美香（ユン・ミヒャン）事件、金融不正疑惑などの権力層捜査は積弊であり、これを擁護すれば検察改革勢力だ。「不動産政策は自信がある」という大統領の決意は、規制強化→税金引き上げ→住居価格暴騰の悪循環に陥ったが、劣勢になれば終わりという巨大与党の立法暴走にはブレーキがない。国内では脱原発、海外には原発輸出という逆説の中で世界最高の技術力が認められた原発生態系は崩れているが、国策機関を前に出したエネルギー転換政策が進められている。もともと必要なのは脱脱原発への政策転換であるが。

「正しい方向なら変えること自体にはいかなる問題もない」。英国人が最も尊敬する政治家ウィンストン・チャーチル首相が財務長官在任時の１９２４年に下院で述べた言葉だ。これまで強行した政策が失敗したとすれば見直すべきだった。しかし故盧武鉉（ノ・ムヒョン）大統領が原則主義者だと評価した文大統領の原則は必ず守ろうということか、誤った政策が軌道修正なく強行する形で推進されている。「改革に対抗する積弊勢力の抵抗は螳螂拒轍（自らの力を考えず強者にむやみに飛びかかる行為）にすぎず、必ず国民の力で制圧される」という共に民主党元院内代表の言葉はこれを代表する。私も国民だが、民主化勢力という執権層が「すべての国民のために」と言って招いた国民の分裂と民主主義の危機状況は絶望的だ。

◆後まわしにされた北朝鮮非核化

不動産の失政は政策の転換が答えだ。しかしこれを揉み消すために百年大計であるべき遷都カードをまた取り出した。こうした中、来年の再・補欠選挙と再来年の大統領選挙を控えて米朝対話や南北関係が進展すれば、投票者の心を引くこともできるだろう。選挙のそろばんを弾く執権層にとって屈辱的な「北朝鮮仰ぎ」が損をする商売でない理由だ。

こうした状況で、国民の安全と韓半島（朝鮮半島）の平和のための核心国政課題である北朝鮮非核化イシューがこっそりと後まわしにされた。韓国戦争（朝鮮戦争）７０年大統領記念演説は非核化には触れず南北共生を強調した。北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）委員長は核抑止力が国の安全を担保すると話すが、李仁栄（イ・インヨン）新統一部長官は国民の平和に対する熱望が核よりも強力な軍事抑止力だと主張するのだから情けない。

北朝鮮非核化の教本という９・１９共同声明は２００５年の６カ国協議で合意した。その最初の条項に北朝鮮はすべての核兵器と現存する核計画を放棄し、核拡散防止条約（ＮＰＴ）と国際原子力機関（ＩＡＥＡ）の安全措置に復帰すると明示されている。これが非核化の最終状態（ｅｎｄ　ｓｔａｔｅ）だ。にもかかわらず主要当事国は「同床四夢」だ。

北朝鮮の目標は核を放棄しないまま米国と関係を改善するパキスタンモデルだ。イラクのフセイン政権とリビアのカダフィ政権は核抑止力がなく結局は転覆したというのが、金正恩委員長には血の教訓だ。実際、米朝交渉の過程で北朝鮮は朝鮮半島の非核化というあいまいな発言をしただけで、９・１９共同声明で公約した非核化合意に言及したことはない。さらに核廃棄は１９６０年代の祖父・金日成（キム・イルソン）主席時代から続いた核・ミサイル開発、すなわち白頭（ペクトゥ）血統の「家族遺産」を捨てることになる。

【コラム】北核から目をそらす「悪い平和」路線、現実直視して転換を＝韓国（２）