【中央時評】文大統領の非情な沈黙(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.07.24 10:44
沈黙にも音がある。サイモン&ガーファンクルは『サウンド・オブ・サイレンス(The Sound of Silence)』の中で、沈黙について「People talking without speaking/People hearing without listening(言葉なく対話し、聴かずして聞く)」と歌った。そのため沈黙は象徴の言語だ。「朴元淳(パク・ウォンスン)セクハラ疑惑」に対して文在寅(ムン・ジェイン)大統領は沈黙するが世の中に向かってある声を発している。これを戦略的計算が根底にある「沈黙政治」ともいう。
文大統領の沈黙は選択的だ。敵と同志、相手方と我方によって決まる。昨年3月、いわゆる「積弊」を狙ったチャン・ジャヨン-金学義(キム・ハクウィ)事件の再捜査を指示した時は、これ見よがしに大声を張り上げた。「社会特権層で起きた事件の真実を糾明できないなら正しい社会とは呼べない」と一喝した。ところがどうしたことか、今月9日の朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長の死以降、2週間が過ぎようとしているというのに何の話もない。「長年、縁を築いてきた人だったので衝撃的」という伝言を添えて喪家に弔花を送ったが、被害者の痛みに対しては今まで一言の言及すらない。セクハラにあったソウル市長女性秘書は積弊でも相手方でもないのに、なぜフェミニストを自任する大統領が無視するのか気になる。