【コラム】トランプも金正恩も対敵統治(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.07.08 15:56
9・11テロを経験した米国で「テロリスト」は軽々しく使うべき単語ではない。テロ連座者の疑惑を受けた瞬間、人生が難しくなる。このような米国で大統領が人種差別に怒ったデモ隊を「テロリスト」と称した。デモ過程で暴力や略奪、放火が広がったのは事実だが、現職大統領なら、名目上「一つにまとまった米国」を語るものだった。だが、ドナルド・トランプ大統領は全く違う。大統領選を控えて白人支持層の票を意識し、露骨に「自分側」と「相手方」に分けている。
「彼我」に分けて「彼」を攻撃して「我」を固く団結させるこのような選挙戦略は2つに分かれた国でより有効だ。これまで世の中を説明して予測する伝統的な社会科学の指標が教育・所得のような社会経済的地位(Social Economic Status)だった。ところが現在の米国では、支持政党(Party Identification)が最も強力な指標だ。米国人は同じ空間に暮らしているが、支持政党によって違う世界に生きている。今年5月、エコノミスト・YouGovの世論調査で、米国失業率を質問すると民主党支持者は「15%超過」(40%)を最も多く答え、次いで「12~15%」(27%)と答えた。反面、共和党支持者には「12~15%」(31%)が最も多く、続いて「15%超過」(27%)の順だった。現実は同一なのに民主党支持者が感じる失業の現実のほうが深刻だということを示している。(米国労働省が先月発表した5月失業率は13.3%だった。)