【社説】韓国政府、ILO条約批准強行…親労働グラウンドさらに傾くか
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.07.08 10:56
韓国政府がきのうの閣議で国際労働機関(ILO)核心条約3件の批准案を議決した。この批准案は昨年労組法改正案などとともに国会に提出されたが第20代国会の任期終了で自動廃棄されたものなどだ。新たな国会が開かれてすぐ再び批准を推進する背景には巨大与党の出現にともなう自信が背景にあっただろう。
韓国政府はこれら核心条約の国会批准を再び推進する理由として「国の品格」を挙げている。政府の説明ははなから一理がないものではない。1991年にILOに加盟した韓国はILO全条約の基本となる核心条約8件のうち、結社の自由と団結権、強制労働禁止などに関連した4件をまだ批准していない。ILO加盟187カ国のうち146カ国と経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国のうち32カ国が核心条約全体を批准しているのと比較される。欧州連合(EU)が韓国との自由貿易協定を根拠に批准を圧迫しているのも政府としては負担かもしれない。
しかしこうした正当性にもかかわらず、政府の一方的な推進が呼び起こす副作用を懸念せざるをえない。第20代国会で財界と野党が条約批准を反対したのは正当性だけで裁くのが難しい労働の現実のためだった。ILO条約がなくても強硬一辺倒の労働運動は合理的労使関係を難しくした。政府はILO核心条約批准に向け労組法など関連法の改正案をすでに国会に提出した。解職者などの労組加入許容、法外労組である全教組の合法化、公務員・教師のスト権認定などを内容とする法案だ。通過する場合、そうでなくても労働側に傾いている労使関係のグラウンドで労働側の力がさらに大きくなることになる。