【コラム】オーウェルの『1984』に見るコロナ時代の危険と希望
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.06.23 18:02
2016年に米国でトランプ大統領が当選し、ひとつの古典小説が改めて注目されることになった。英国の作家ジョージ・オーウェルの『1984』。小説『1984』には「真理省」という耳慣れない政府官庁が登場する。この官庁は討論と対話を押さえ込み権力の好みに合う話だけするよう市民を監視するのがその役割だ。最終的に真実と偽りの境界が崩れ、市民はこの中で意識に苦しめられる。トランプ式脱真実政治と意識分裂の時代をジョージ・オーウェルは数十年早く予測・想像した計算だ。
新型コロナに閉じ込められ『1984』を再び取り出して読んで筆者は、ジョージ・オーウェルはトランプよりもコロナ危機時代を想像したのではないかと感じた。例を挙げてみよう。2020年に世界が新型コロナウイルスと戦いあちこちで現実化しているのがビッグ・ブラザー国家の登場だ。小説『1984』を広げると、国民の暮らしを監視するビッグ・ブラザーという存在が1部1章から登場する。
『1984』と2020年の世界の似ている点はまだある。『1984』の主人公ウィンストンは自身の行動・意識・感情を監視するビッグ・ブラザー国家に抵抗して失われた自由と個性を取り戻す夢を見る。新型コロナの恐怖の中でビッグ・ブラザーの登場と個人のプライバシーの侵害を心配する私たちはもしかしたら2020年のウィンストンではないだろうか?