【社説】文大統領「忍耐」の前に冷静な対応が切実だ
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.06.19 10:16
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が17日、与党寄りの外交安保元老との午餐会で「引き続き忍耐して南北関係の改善を図りたい」という意向を明らかにした。北朝鮮が開城(ケソン)南北共同連絡事務所の爆破に続き、開城工業団地・DMZ警戒所の兵力投入など暴挙を続いている中でも「耐えて待つ」としたわけだ。「対北朝鮮ビラ散布を阻止できなかったのが残念」「トランプ大統領が北朝鮮の非核化に同意したが、下(実務陣)の反対で実現できず残念だ」という言及も首をかしげざるを得ない。非核化の約束を破ってかろうじて実現した南北間合意を一方的に破り、国民税金170億ウォン(約15億円)が投じられた事務所の建物まで爆破して平和を望む皆の期待を裏切ったのは北朝鮮だ。ところが、脱北団体のビラ散布と米国行政府の「足を引っ張る」ことが南北関係破綻の根本原因なら納得し難い。
このような認識は地に足のつかなかった「砂上の楼閣」式アプローチだ。決して成功できない。政府が「忍耐」するほど北朝鮮はさらに勢いよく韓国を威嚇・嘲弄するだろう。せっかく機先を制したついでに最大限得られるものは得るという戦略が目に見えるからだ。今後、北朝鮮は休戦ラインや西海(ソヘ)北方境界線(NLL)一帯の軍事挑発、ドローンを動員した対韓国ビラ散布などさまざまな方式で韓国を困らせる可能性が大きい。韓国政府がその都度「忍耐」や譲歩を繰り返すなら、韓国国民の忍耐心も限界に達し政府の対北朝鮮政策の動力は根元から失われる恐れがある。