【社説】遺憾な文大統領の慰安婦運動発言
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.06.10 08:02
正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)の不正会計論争に対する文在寅(ムン・ジェイン)大統領の言及は事件の本質を大いにわい曲したもので、失望だけを加えたという指摘が出ている。尹美香(ユン・ミヒャン)事件が起きて約1カ月ぶりの立場表明だったが、大統領の状況認識は国民が感じている途方もない怒りとは乖離していることが明らかになったためだ。
文大統領は一昨日、「一部で慰安婦運動そのものを否定し、運動の大義を傷つけようとする試みは正しくない」とし「被害者のおばあさんの尊厳と名誉まで押し倒すこと」と批判した。あわせて「私たちは慰安婦のおばあさんがいない慰安婦運動を考えることはできない。慰安婦運動を率いられたことだけでもだれの認定も必要なく自らが尊厳だ」と話した。いったい誰が慰安婦運動の大義を否定するというのか。今回の尹美香(ユン・ミヒャン)事態の核心は明白だ。政府支援と市民が出した寄付金が、実際にはおばあさんへの支援ではなく、全く関係のないところに多く使われたほか、尹氏がそのうち相当額を横領したという疑惑だ。しかも尹氏と30年同志格の李容洙(イ・ヨンス)さんが公開的に問題を提起した。「30年間、尹美香に利用された」「その多くのお金がすべてどこへ行ったのか分からない」という暴露で、尹氏と正義連が検察の捜査を受ける段階まで来ることになったのが今回の事態だ。
それでも文大統領は疑惑の核心である尹氏や正義連の会計不正に対しては一言も直接取り上げなかった。代わりに「市民団体の活動方法や形態に対しても振り返ってみる契機になった」という、どっちつかずの話法でこの問題をスルーした。非常に無責任なだけでなく、不正疑惑をかばって免罪符を与えるような誤解を招きかねない。