宇宙服のようなレベルＤ保護服を着ている時の苦しさも詳細に書かれた。漆谷慶北大病院陰圧集中治療室のイ・ウンジュ看護師は「（レベルＤ保護服を着ていると）息を我慢しているような苦しさは果てしなかった。サウナでも経験したことのない、全身の汗の穴が一度に開く不思議な経験をした。ゴーグルとマスクで押さえられる局所的な痛みは顔にテーピングをしても避ける方法がなかった」と吐露した。同病院６３病棟のパク・ジウォン看護師は「保護服を着ただけなのに息がしにくくなり、体のあちこちがかゆかった。立ちくらみがしたときは椅子に座って深呼吸して待つ。窯の真ん中にいるような感じで、汗が次から次へと流れて呼吸が苦しかった」と記憶した。

２月、全国の医療スタッフを大邱に呼び集めた出発点はイ・ソング大邱市議会会長の要請文だった。要請文が作成される直前の切迫した状況も紹介された。イ会長はこの本で「大邱の深刻な状況を大邱５７００人余りの医者に伝えれば、少なくとも１００人は助けてくれるのではないかという思う気持ちで（要請文を）書いた」と綴った。

新型コロナの状況が大邱で始まったばかりの２月。その最初の７日間を詳しく記録したものもある。大邱市医師会新型コロナ対策本部長のミン・ボッキ氏は２月１７日から２３日までの状況を書いた。「１７日、大邱にはまだ患者が発生していなかった。１８日、大邱に最初の感染者が発生した。その日夜から１９日まで、大邱市長や市庁公務員と夜を徹して状況対処を準備した。２０日には国軍大邱病院長に連絡して病床確保を要請した。２３日からは軽症と重症に分類して新しい治療センター概念である生活治療センター導入を…」

感染者の発生で病院閉鎖を強いられたＡ病院の院長は、自身が新型コロナに感染したと確信し、医師として感じた無力感を綴った。彼は「熱が３８．３度まで上がって感染を確信した。自宅隔離をしたが、夜の間眠かった」と本に書いた。

このほかにも世界的な新型コロナ検査モデルになったドライブスルーとワーキングスルーについてのこと、焼酎メーカーが酒を作る時に使うアルコールを寄付したこと、感染で無念にも亡くなったホ・ヨング院長に対する医者たちの悲しみなども日記形態で飾り気なく本に紹介されている。

図書出版「学而思（ハギサ）」のシン・ジュンヒョン代表は「新型コロナに関連した大邱地域状況を本で記録して残せばよいのではないかと思い、編者である李載泰教授にアイデアを伝えると、すぐに快諾してくれ、他の医療スタッフも積極的に参加してくれた」と説明した。

日本でも関心「ゾンビ映画のような現実」　韓国コロナ戦士３５人の告白（１）