【社説】米国社会の脆弱性を見せたデモ事態…早く安定を取り戻して
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.06.03 15:50
米国で黒人男性を白人警察官が膝で押さえ付けて死なせた事件によって触発された暴力デモ事態が米国全土に拡散している。単純な抗議デモ次元を超えて、防火や略奪、銃撃などで無法天下を彷彿とさせるほどの状況が各地で起きている。強硬鎮圧方針を曲げないでいるドナルド・トランプ大統領が連邦軍の投入を公言したことを受けて大規模な流血事態に飛び火する可能性も排除できなくなった。デモ鎮圧のための連邦軍投入は1992年ロドニー・キング暴行事件によって触発されたロサンゼルス暴動以降、28年ぶりだ。
このように暴力事態が広がった原因としては、不平等と人種差別という米国社会が抱える慢性的な問題点が根底にある。階層間、人種間の格差と不平等に伴う不満が新型コロナウイルス(新型肺炎)事態を経て発火点に近い状態で累積した状態だった。折しも起きた黒人男性の死亡事件と重なり、これに引火したのが今回の事態の本質だ。デモ群衆の中には黒人だけでなく白人も多数参加している点も見逃すことはできない点だ。人種差別に対する抗議を超え、米国社会が抱えている構造的葛藤に対する抗議に出たと解釈される部分だ。にもかかわらず、トランプ大統領はデモ群衆を急進左派またはテロリストと決めつけて理念紛争に引っ張り込み、分裂の溝をさらに深めていて残念なばかりだ。トランプ大統領の事件対処方式は、階層間の和解ではなく支持層の熱情的な支持に依存してきた政治スタイルとも無関係でないようにみえる。