【社説】世界は「ワクチン覇権戦争」…韓国だけ疎外されてはならない
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.05.20 09:31
米バイオ企業モデルナのワクチン候補物質が臨床第1相試験で全員抗体形成という意味のある結果を得た。世界が新型コロナウイルスと死闘を行う渦中に聞こえてきた鼓舞的な知らせだ。ワクチン早期開発の期待が大きくなり米国だけでなく韓国の証券市場も急騰傾向を記録した。
しかし楽観は早い。トランプ米大統領が「年内のワクチン開発完了」を目標に掲げたが、大多数の専門家は慎重論を堅持している。肯定的な1次臨床結果はまだ始まりにすぎないとみなければならない。国際ワクチン研究所のジェローム・キム事務局長によると、通常ワクチン開発には5~10年という歳月と5億~15億ドルの費用がかかる。
各国がワクチン開発戦争を行って政府支援を惜しまないのもこうした難度のためだ。米国は「超高速作戦」という名前で政府、軍、民間製薬会社が合同開発を進めている。中国も習近平国家主席が直接乗り出して国有企業と人民解放軍まで動員している。欧州でも民間製薬会社に対する政府支援を強化しろとの要求が高まっている。各国が各個戦闘式の速度戦を展開する理由は明確だ。「ワクチン覇権」のためだ。開発されたワクチンを自国民に優先使用できるだけでなく所有するワクチンの配分権は外交・通商で有用な武器としても使える。