アン・シネ（３０）は２００９年、韓国女子プロゴルフ（ＫＬＰＧＡ）ツアーにすい星のごとく登場した。身長１６６センチのバランスが取れたスタイルで、あるスポーツ衣類ブランドから出た、体にフィットしたゴルフウェアを着こなした姿は印象的だった。アン・シネはゴルフ界ファッショントレンドを一気に変えた。女子選手の衣装は大胆になり、外見を装うことに関心を持つ選手も一人二人と増えた。

新シーズンを控えたアン・シネと最近、ソウル清潭洞（チョンダムドン）の自宅で会った。アン・シネのファッションはいつも話題だった。特に、韓国では体のラインが表れるタイトなゴルフシャツが、日本では膝上３０センチのミニスカートが話題だった。競技力よりも外見に偏っているのではないかという否定的な見方もあったが、肯定的な評価のほうが多かった。アン・シネには「美しくセクシーなゴルファー」という修飾語がつく。アン・シネは「『美しい』という言葉は当然うれしい。このような評価が自信を持たせてくれる。自分をもっとケアしようと思わせてくれる」と話した。

アン・シネの人気はツアーに限定されない。インスタグラムのフォロワーが１５万５０００人。平均的なセレブ以上だ。アン・シネがインスタグラムに投稿した写真は１０万人以上の人が見る。アン・シネはインスタグラムを通じてゴルフ選手としての姿より日常の中の姿のほうを伝えようとしている。ゴルフ選手としての姿は好むと好まざるとにかかわらず人の目にさらされるので、彼女は「アン・シネという人」が日常ではどう過ごしているのか見せたいという。

学生時代をニュージーランドで過ごしたアン・シネは自分のことを表現することが自然で、また慣れている。すべてに堂々としていて率直だ。また、わざわざ整えようとしない。新しいことに経験することを躊躇せず、自分が思うように生きようと努力するほうだ。このような理由で自身を自然に外に出そうとする。

アン・シネはゴルフの他にも関心事が多い。時々、時間を割いてショッピングをして、友人とも旅行に行って、肌のケアで自分を磨く。アン・シネは「選手はほとんどの訓練と練習で忙しい。でも私は関心事が多い。それでも遊んでばかりだったらここまで来れなかったと思う。遊びながらもやることは全部やるほう」と話した。ＫＬＰＧＡツアーで３勝（メジャー１勝含む）を収めるなど、１０年以上ツアーで健在している理由だ。

２０１７年日本女子プロゴルフ（ＪＬＰＧＡ）ツアーに挑戦したアン・シネは昨年までは条件付きシードで活動した。韓国ツアーはシードがあったので楽に活動することもできた。しかし、過去３年間は休まずに日本ツアーに挑戦し、昨年末はクオリファイングスクールで２５位に入り、フルシードを掴んだ。アン・シネは意欲的に新年を迎えた。ところがシーズンの開始を待たずして心が落ち着かない状況だ。新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）余波でスケジュールが次々に中止となり、予想外の休息時間を持つことになった。それでもツアー再開を待ちながら練習ラウンドや体力トレーニングなどで時間を過ごす。

アン・シネは「多くの人が『アン・シネはゴルフ以外にも関心分野が多くてすぐ消えるだろう』と言った。でも、私はツアーで長く活動しながらゴルフを本当に愛した人として記憶されたい。時間はちょっとかかるだろうが、いつか私の情熱を証明する時間が来ると信じたい」と話した。アン・シネはまた「一人で悩んだところで効果がないことは考えない。自分の場所でベストを尽くして待つ」と付け加えた。いつのまにかアン・シネは内面も磨かれたプロになっていた。