青瓦台（チョンワデ、大統領府）は５日「金正恩（キム・ジョンウン）北朝鮮国務委員長が昨日、文在寅（ムン・ジェイン）大統領に親書を送ってきた」と明らかにした。

尹道漢（ユン・ドハン）青瓦台国民疎通首席はこの日午後、ブリーフィングで「金委員長は親書で新型肺炎（新型コロナウイルス感染症）ウイルスと戦っているわが国民に見舞いの意向を伝えた」として「金委員長は『（韓国が）必ず乗り切ると信じている。南側同胞の大切な健康が守られるように祈る』と言及した」と話した。

尹首席は「金委員長は文大統領の健康を心配して気持ちだけを伝えるしかない状況が残念だと言った」として「『文大統領が新型肺炎ウイルスを克服することができるように静かに応援する』として変わりない友情と信頼を送ってきた」と伝えた。金委員長は親書で韓半島（朝鮮半島）を取り囲んだ情勢に対して率直な感想と立場も明らかにしたという。尹首席は「文大統領は感謝の意を込めた親書を今日（５日）、金委員長に送った」と明らかにした。ただし、青瓦台は両首脳の親書に含まれた具体的な内容や親書をやりとりした方式、韓半島情勢に対する内容については発言を控えた。青瓦台高位関係者は「首脳間の親書でどのような内容があったかを明らかにするのは正しくない」として「発表の内容をそのまま解釈してほしい」と話した。

南北首脳が親書をやりとりしたのは今年に入って初めてだ。これに先立って昨年１０月３０日、母親を亡くした文大統領に金委員長が親書形式の弔意文を送った。文大統領も昨年１１月韓・ＡＳＥＡＮ特別首脳会議を控えて金委員長を招待する親書を送った。

ただし、金委員長が今回の親書を送った時点をめぐりさまざまな見方が出ている。その前日である３日夜、妹である金与正（キム・ヨジョン）労働党中央委員会第１副部長が「青瓦台の低能な考え方に驚きを表わす」として「青瓦台の行動が３歳の子供と大きく変わらない」という声明を出したからだ。

北朝鮮の韓国向けメッセージが朝令暮改（朝に令して暮れに改む）であることに対して青瓦台高位関係者は「金副部長の非難声明に青瓦台が立場表明をしなかったが、これは北朝鮮の発表を全体的な状況の中でで判断しているため」とし「メディアが提起したことと同じ流れで見ていない」と話した。金副部長の声明を「非難一辺倒」と見なしていないという意味だ。

これに先立って文大統領は３・１記念日記念演説を通じて南北間保健分野の協力を提案した。青瓦台高位関係者は「親書をきっかけに保健協力の可能性が大きくなったか」という質問に「具体的な内容を明らかにすることは難しい」とし、「ただ、あとは別途のチャンネルで協議できると考える」と話した。新型肺炎に関連した物資支援の有無や北朝鮮個別観光提案に関する協議などはなかったと伝えた。