【コラム】誰が大統領の意に背く抗命者なのか=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.01.23 11:21
首都圏のある中小都市にA総警が新任警察署長として赴任した。彼は現職市長Bの不正捜査に着手し、政治資金法違反および賄賂授受の容疑で立件した。B市長は有罪判決を受けて職務停止となった。
問題はその後からだ。翌年実施された地方選挙でB市長の後任に当選したのがA総警だった。彼が最初から市長出馬を念頭に置いてB市長を捜査したかどうかは第三者が正確に知るのは難しいが、彼の出馬は疑心を抱かせるのに十分だった。たとえ捜査当時にはそのような意図がなかったとしても、現職市長を捜査した当事者が市長選に出馬したのは適切な行動とは見なしがたい。後日聞いた話だが、A総警も市長就任後に賄賂容疑で側近らと拘束され、実刑を言い渡されたという。この事件を最初に聞いた時、「だから警察はだめだ」という言葉が出そうになってこらえた記憶がある。筆者の面前で一部始終を話した人も警察の幹部だったからだ。
記憶が薄れていた10余年前のA総警の事件をまた思い出させたのは、最近の2つの事件、検警捜査権調整法案の通過と蔚山(ウルサン)市長選挙介入疑惑のためだ。別々のように見える2つの事件は互いに深く関係している。警察庁の玄関には「捜査は警察、起訴は検察、恩恵は国民に」と書かれた大型看板が設置されている。検察との上下関係から「独立」したという感激と誇りが感じられる。ところが警察は政権の不当な干渉と外圧からも「独立」できるのだろうか。警察の力が強まれば、国民は本当に恩恵を受けるのか。首をかしげる人もいる。これまで警察が見せてきた態度と前歴のためだ。