【コラム】ポスコはどのように韓国唯一の灯台工場になったのか(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.12.17 09:24
すべての期待と予測を崩した1日だった。メディアは衝撃に包まれたこの日をこのように記録した。「人間が作った人工知能に人間が負けた」。
プロ囲碁棋士イ・セドル九段がグーグルディープマインドの人工知能(AI)アルファ碁との初めての対局で完敗した2016年3月9日の話だ。「機械が人間より優秀になり人間を代替しないか心配」(英デイリーメール)としながらみんなが茫然自失している時にだれかは機会を見つけた。当時ポスコで工程エンジニアリングソリューション室長を務めていたイ・サンヒョン常務もそのうちの1人だった。
だれに言われるでもなく彼はすぐに研究員を全員呼び集めた。ポスコにはその当時AI専門家といえるほどの人もいなかったが、電機・電子だけでなくデータ・ロボットなどを専攻した研究員10人ほどが集まった。まさにその週末にイ室長がAI戦略の概略を盛り込み当時の権五俊(クォン・オジュン)会長宛てに電子メールを送るほど強度の高いスタディが続いた。何人もいない学界研究者に会い現場の声をまとめるなど週末も返上して全力疾走した。それからわずか3カ月後、ポスコは浦項(ポハン)第2高炉など工場3カ所でディープラーニング基盤のAI製鉄所を稼動した。韓国だけでなく世界の鉄鋼業界でも初めてだった。