【社説】真のリーダーの力を見せた朴恒緒監督
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2019.12.14 13:52
10日の夜、ベトナムは眠ることができなかった。男子サッカーのベトナム代表が以前から強く望んできた東南アジア競技大会(SEAゲーム)優勝を60年目にして初めて果たしたからだ。金星紅旗(ベトナムの国旗)の赤い波と歓呼の中で太極旗(韓国の国旗)も翻った。不可能を可能にした異邦人の朴恒緒(パク・ハンソ)監督に対する感謝と敬意の表示だった。2017年10月にベトナムで新しいサッカー人生を始めて2年余りで朴監督は一国の夢をかなえたリーダーとなった。
朴監督の成功神話がベトナム社会に及ぼした影響は大きい。烏合の衆の代表チームの常勝を目撃したベトナム国民の成就へのモチベーションは依然とは全く違うはずだ。民族の潜在力と成長動力はいつでも爆発するという自信が社会のあちこちで生じるのは間違いない。真のリーダーだけが生み出すことができる前向きなエネルギーだ。こうした勝者の経験をベトナム政界も歓迎している。ベトナムのグエン・スアン・フック首相は朴監督を首相室に招待し、「今回の勝利は経済・文化・社会の発展にインスピレーションを与え、ベトナムを強国に建設することに寄与するだろう」と述べた。
韓国の国民も似たインスピレーションを受けたことがある。ワールドカップ(W杯)4強神話を築いた2002年のヒディンク監督からの贈り物だった。その祭りを経験した世代には、後世の人たちともう一度共に経験したいほどの貴重な思い出だ。ヒディンク監督のように朴監督もベトナムの選手たちを変化させ、国民を感動させた。異邦人の冷静な目で弱点を一つずつ補完した。韓国サッカー界が「技術力が足りない」と話す時にヒディンク監督が「体力が問題」と診断したように、朴監督は「体力が劣る」というベトナムの選手に「上体の筋肉と体脂肪が足りない」と分析し、献立を変えた。先輩への敬称を禁じて権威主義文化を変えた点(ヒディンク監督)と、食事中の携帯電話使用を禁じて個人主義文化をなくした点(朴恒緒監督)も似ていた。麺料理サルククス(フォー)が有名なベトナムでヒディンク監督と似た成功を収めた朴監督が「サルディンク」と呼ばれる理由だ。