【コラム】消え失せた自動運転車の夢=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.11.04 10:05
7~8坪ほどになるだろうか。小さな商店で使われるような空間はコンピュータとモニター数台、そして各種電子部品でぎっしり埋まっていた。ハンダごてまで置かれているのが電波商を連想させた。京畿道竜仁市(キョンギド・ヨンインシ)のある事務室の風景だ。ハン・ミンホン元高麗(コリョ)大学産業工学科教授がリタイアした後に個人研究をしている所だ。
ハン教授は韓国の自動運転車分野の先駆者だ。彼を思い出したのはこの前の新聞を見てだった。記事の見出しは「8年後に京釜(キョンブ)高速道路で世界初の全面自動運転」。韓国政府が「未来車産業国家ビジョン宣言式」で宣言した内容だった。読んだ瞬間に1995年と昨年の2度ハン教授に会った記憶がよみがえった。
彼は26年前の93年にすでに自動運転車を作りソウル都心での走行に成功した。昨年夏に中央日報を通じて紹介された話だ。ところでそれがすべてではない。2年後の95年にハン教授はKBS「9時ニュース」に登場した。「時速100キロメートルの無人車」という内容だった。旧アジア自動車の「ロクスタ」を改造した自動運転車が京釜高速道路で特定車線に沿って走る姿が放映された。ハン教授は運転台とペダルから手足を離しただけでなく、運転席の背もたれを後ろに倒して腕枕をしながら横になることさえした。同乗した記者はこのように話した。「運転して疲れたら横になって寝てもかまわない、夢の自動車が出現する日は遠くない」。