【コラム】韓国のワカメ、日本のコンブ
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.10.24 08:12
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韓国人と日本人が好んで食べるワカメとコンブを採取する船と道具を見ている観覧客。 今回の展示は来年3月に日本でも同じ内容で開かれる。[写真 国立民俗博物館]
シン・ヨンギュンとコ・ウンハが主演したキム・スヨン監督の映画『漁村』(1965年)には、海辺に住む女性がカタクチイワシをゆでる場面が出てくる。激しい嵐で夫を失った女性にカタクチイワシは生計を立てる主要な支えだ。韓国リアリズム映画の秀作という評価らしく『漁村』は生臭い海のにおいとともに一生をさびしく、あるいは強く生きていく昔の女性の情と恨を見せる。半世紀前の映画だがいまでも全く古びて見えない。
欠かすことができないほど使い道が多いカタクチイワシを私たちがゆで始めたのはそれほど昔ではない。近代開港以前の朝鮮の人たちはカタクチイワシをゆでず日に干して使った。ゆでて干したカタクチイワシは開港以降に日本人が持ってきた。韓国に来た日本の漁民は慶尚南道(キョンサンナムド)の南海岸でカタクチイワシを干し日本に持っていった。汁物や鍋の味を引き立てるゆでて干したカタクチイワシが韓国人の食欲をひきつけたのは主に1945年の光復以降だ。
カタクチイワシを見ると東アジアの海産物流通の断面を読み取れる。旧韓末の朝鮮と日本の漁民の間には衝突もあった。1896年に日本の漁民が慶尚南道巨済(コジェ)にカタクチイワシ加工施設を無断で設置しようとして対立が起きた。その時朝鮮人と日本人が結んだ1枚の誓約書が目を引く。道で女性たちにわい談をしないこと、漁業を通じて互いに商業すること、村の前で服を脱がないこと、韓国人と日本人が争わないことなどだ。当時日本人が女性の前や村の近くで服を脱いで歩くことが多く他の地域でも問題になったという。