【コラム】「トロイの木馬」チョ・グク=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.10.08 10:05
侵攻したギリシャの大軍に対抗して10年にわたり抗戦してきたトロイが陥落するのに1日もかからなかった。ギリシャの計略は緻密だった。中から城門を開く50人ほどの武装兵力が隠れた大型木菜をトロイの城門前に捨てておいた。撤収したかに見えた軍人はトロイ沖の島の隠れた船団にぎっしり乗っていた。歴史的教訓のポイントは偽装木馬を目の前に置いて繰り広げられたトロイの人々の間の賛否論争だ。バーバラ・タックマンは著書でこの場面を詳細に召還した。
木馬は奸計の道具であり偽善の象徴だった。トロイの人々に馬は神聖な動物だった。木馬の外側には「ギリシャ人がこれをアテネ神に捧げるのでどうか故国に無事に戻れるよう加護を祈ります」という文が彫られた。トロイの一部長老は「神に捧げるという言葉を信じよう」として城内のアテネ神殿に入れようと叫んだ。他の長老は「神に捧げるものとして作られたこの木馬をオノで壊して何が入っているのか見よう」と対抗した。すると群衆からも「神聖な像に違いない」「すぐにたたき壊せ」という叫びと興奮が交錯した。
決定はトロイのプリアモス王の役割だった。神聖な贈り物を冒とくしないか「偶像」が恐ろしかった彼は結局木馬を城内に入れるよう手を上げた。城門の入口から木馬を引き込んでいた馬が4回止まった。木馬の腹の中では4回武器が鳴る音が聞こえる。落ちれば城が陥落するという予言があった城門上の石もすべて大きな木馬を無理に入れて崩れる。だが王の選択に屈従したトロイの民は翌日明け方に直面する滅亡も知らぬまま木馬を前進させなければならなかった。