【コラム】東アジアは薄氷、刃を懐に実力養うべき(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.08.23 10:25
1971年7月9日、米国の大統領特使団はサイゴン・バンコク・ニューデリー・ラーワルピンディーを経て密かに北京に到着し、周恩来首相に会った。翌年2月にリチャード・ニクソン大統領も中国を訪問して上海コミュニケを発表し、1979年の米中修交を契機に中国は本格的に改革開放政策を推進した。
米中の和解という歴史的契機を作った中心にヘンリー・キッシンジャー米国国家安全保障補佐官(当時)がいた。米国は中国の浮上を積極的に助け、中国もアジア太平洋地域での米国の覇権的地位を受け入れた。米中は相手の価値観や信念を尊重しながら冷戦の遺産である多くの葛藤を凍結させ、いわゆる「キッシンジャー秩序」を誕生させた。
しかし、2018年から始まった米中貿易摩擦は、キッシンジャー秩序が解体されたという象徴的事件だ。米国は単極体制が揺らぐと先端科学技術の商用化に成功した中国の浮上をこれ以上容認できず、米中間の相互依存を武器化した。また、効用最大化のために構築したグローバル・バリュー・チェーン・システムを捨て、世界貿易機関(WTO)など多国間経済体制への不信も広がっている。