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【コラム】日本の経済報復と韓国の科学技術独立

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.07.29 08:35
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「スティーブ・ジョブズ、人工知能、創業…」。学生らと面談してみると反復記号のように繰り返されるレパートリーがある。みんなスティーブ・ジョブズになりたく、創業して大金を稼ぎ、人工知能を勉強したいということだ。時には自分だけの特定の分野を研究したいという風変わりな情熱を持つ学生に会いたくなる時がある。最近の流行により特定専攻領域を選択する偏り現象はほとんどの理工系大学に現れている。

だが学生たちが我を忘れて研究に熱中している実験室を訪問するたびに私の懸念はただの杞憂になり安堵する。真夏の猛暑にも黙々と実験に熱中する研究者の姿は尊敬できるほどだ。現代科学で成功と失敗を分ける重要なものさしは実験条件の最適化の可否だ。研究主題に基づいて研究者は実験装備を組み立て、細かくバランスを取って調整し、最上の実験条件を作る。

 
いま日本の一方的な貿易報復により話題の中心にある半導体もこうした研究最適化の代表領域だ。1960年代以降に日本が覇権を握っていた半導体産業に本格的に韓国が参入したのは1983年にサムスンが半導体産業への参加を宣言した時からだった。そして驚くべきことにわずか10年で韓国は世界1位のシェアを達成した。もちろん途轍もない成功の後には1985年に政府が合計600億ウォンを半導体研究に投じたような画期的な支援と企業の果敢な投資があった。だが輝かしい成功の重要な秘訣は製造工程を安定化し最適化できた、いわゆるラインエンジニアと呼ばれる工学者の役割にある。大部分の大学院で修士以上の教育を受けた人たちは短期間に全半導体工程を効率的に作動するのに決定的な役割をした。

半導体生産過程は高度で精密で精巧な過程だ。装備設置と作動過程で起きかねない多くの突発状況を調節・統制できる工学者の「能力」は必須だ。日本の輸出規制品目のひとつである高純度フッ化水素はその代表的事例だ。フッ酸は無色の有毒性物質で、2012年に亀尾(クミ)で流出し5人の労働者が犠牲になるほど人間には致命的な危険物質だ。また、毒性が高いということは他の物質との化学的反応が高いということを意味する。フッ酸の豊富な反応性により半導体生産でシリコン基板(ウエハー)表面の酸化物を除去するのに非常に効果的だ。

現在日本が独占している高純度フッ酸生産を韓国国内で代替できるとしても問題は簡単に解決されない。エンジニアは微細調整を通じて新しいフッ酸がまともに作動するよう全工程を安定化しなければならない。国産高純度フッ酸の代替可能性の成否を左右する核心は純度を決める技術力とともに全工程に一寸の誤差も許さない完璧な微細調整にかかっている。

日本の突然で一方的な輸出規制は韓国の技術体系を揺さぶりかねない挑発行為だ。この危機を克服するために多くの人たちは技術開発が長期的な案だと強調する。技術開発はその技術を最適化させられるエンジニアの役割が重要だ。25人のノーベル賞受賞者を輩出した日本の技術力を超えるためにはそれぞれの領域で掘り下げていくことができる底力と熟練度を持てるよう基礎・応用科学の多様性確保が重要だ。科学技術の多様性確保は次に押し寄せてくるかも知れない危機を解決できる方策を提示する鍵になるだろう。

キム・ギフン/ポステック教授・人文社会学部

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