【時論】日本には1000年食堂もあるが、消えるソウルの老舗
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.06.06 08:25
ソウルの老舗冷麺店「乙支麺屋」が再開発のため消えるという話が伝えられると、これに反対する世論が形成された。ソウル市が老鋪保存方針を明らかにし、乙支麺屋はひとまず生き残ることになった。乙支麺屋の向かい側のノガリ横丁にある元祖「乙支OBベアー」は建物所有者と明け渡し訴訟中であり、建物から出なければいけない状況だ。仁寺洞(インサドン)韓定食の最古参「ドゥレ」が運営難のため廃業すると伝えられると、常連客が立ち上がってこれを阻止した。
最近、老舗の食堂の生存問題がよく話題になる。老舗食堂は口と心に「食を通じた交感」を残したところだ。したがって人々は古い店を自分の家族や友人のように大切にする。情緒的な交感のほか老舗は文化遺産として価値がある。1980年に乙支路(ウルチロ)の工具路地の片隅で営業を始めた乙支OBベアーは当時本格的に始まった「生ビール時代」の化石だ。1000ウォンのノガリ(スケトウダラを干したもの)は咸鏡道(ハムギョンド)の故郷に帰れない人たちの涙ぐましい韓国定着の産物だ。乙支麺屋は平壌(ピョンヤン)式冷麺のソウル定着の象徴だ。乙支路の過去の雰囲気を残す空間であり、スユク(ゆで肉)に焼酎1杯を添えて、大韓民国で最も細くて香ばしい冷麺を食べるという体験は乙支麺屋でなければ不可能だ。