【コラム】また移転…終わらないロッテ名誉会長の悲劇(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.04.30 16:40
白寿(99歳)を迎えた辛格浩(シン・ギョクホ、重光武雄)ロッテ名誉会長がまた引っ越しの準備をしているという話が最近聞こえる。現在のソウル蚕室(チャムシル)ロッテワールドタワー49階を離れ、過去の執務室、小公洞(ソゴンドン)ロッテホテル・ソウルエグゼクティブタワー(旧ロッテホテル新館)34階に戻るという。そこへ行ってみると昨年8月にリノベーションが終わった他の階とは違い、34階は執務室をはじめ全体が出入りできなくなっていた。ロッテ持株のチェ・ミンホ首席は「補修工事が終わりしだい5月末または6月初めに引っ越しする予定」と説明した。いくら国内財界5位(資産総額基準)の大企業の創業者とはいえ、もともと使用していた新館3450号をそのまま再現するのにインテリアだけで10億ウォン(約1億円)以上かけた執務室をわずか1年ほどで離れなければいけない内部事情があるのだろうか。
先に答えから言えば、そのような事情はない。ただ昨年11月の家庭裁判所の決定に基づく後続措置にすぎない。もう少し正確に言えば、韓国・日本の国境を行き来しながら経営権争いをした長男の辛東主(シン・ドンジュ、重光宏之)元副会長と次男の辛東彬(シン・ドンビン、重光昭夫)ロッテグループ会長、この2人の息子の終わらない感情的争いに認知症の父がやむを得ず不自由な体でまた移転しなければいけないということだ。
2018年1月、新館のリノベーション中に30年間も過ごした住居を離れた当時もそうだったように、「辛格浩の生涯の夢」の集約地である国内最高層ビル(ロッテワールドタワー)での生活を終えてまた戻ってくる今も、辛名誉会長の胸中は誰にも分からない。経営権を掌握した次男は2017年4月に開館した「ニューロッテ」の象徴であるロッテワールドタワーに父を迎えようとし、持ち株はすべて売ったが感情の溝がさらに深まった長男は「工事後にまた移転」という但書条項を前に出して父をロッテワールドタワーの外に出すと言い張っているだけだ。双方が対立すると、今回も当時と同じように裁判所が一方に軍配を上げた。辛名誉会長としては自分のお金を使って自分が暮らす場所を決めるのに自分の意思通りにできない状況になったのだ。