【時論】韓国には粒子状物質の「肺がんへの影響研究」さえまだない
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.04.16 13:36
世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関は2013年にPM2.5(微小粒子状物質)を含めた大気汚染に「ヒトに対する発がん性が認められる(Carcinogenic to humans)」として最高レベルのグループ1に分類した。
PM2.5による肺がんリスクの増加は欧州・北米・アジア地域でコホート研究(Cohort study、特定要因に曝露した集団と曝露しなかった集団を追跡した比較研究)と症例対照研究(Case-control study、患者とそれと比較する対照群に分けた研究)で一貫して現れた。このような研究を見ると、ほとんどがPM2.5の年平均濃度が10~30マイクログラム/立方メートル範囲の地域で実施された点が注目するに値する。言ってみれば露出水準が世界的に下位3分の1に該当する地域で実行されたにもかかわらず、肺がんリスクの増加を観察できたということだ。2017年大気環境年間報告書によると、韓国の年平均PM2.5濃度は2015年が26マイクログラム/立方メートル、2017年は25マイクログラム/立方メートルだった。
筆者は国立がんセンターで根拠基盤の発がん要因政策を樹立するための研究企画および実行を担当している。残念なことに、根拠基盤の粒子状物質関連の政策を樹立するには、現在の粒子状物質に対する国内根拠が非常に不足している。このような実態は粒子状物質増加原因および効果的な低減方法、国民曝露水準、健康危害性など粒子状物質に関する全ての分野にわたって同様にいえる。