アシアナ航空の２０１８年財務諸表に対する監査意見が「限定」から「適正」に変わる。外部監査人の三逸会計法人の会計処理指摘事項を受け入れ財務諸表を修正することにしたためだ。これによりアシアナ航空は格付け降格と債券償還圧力の懸念を減らせることになった。

２５日の関連業界によるとアシアナ航空は監査意見「適正」を受けた訂正監査報告書を２６日に公示する予定だ。２２日に「監査範囲制限による限定」の意見が付けられた監査報告書を韓国取引所に提出してから４日ぶりだ。

アシアナ航空に精通した関係者は「再監査を通じて三逸会計法人から『適正』意見の監査報告書を改めて受け取ることになった。今回の事態を速やかに解決するため錦湖（クムホ）グループ最高上層部まで努力した結果だ」と話した。

アシアナ航空は監査意見を「適正」に回復するために三逸会計法人が指摘したリース航空機整備とマイレージ関連充当負債をさらに積み増し、関係企業株式の公正価値評価部分を修正するなど財務諸表を訂正することにした。これにより会計上の財務数値はさらに悪化すると予想されるが、格付け下落の懸念と社債と資産担保証券（ＡＢＳ）のような市場性借入金償還圧力は徐々になくなる見通しだ。監理銘柄からも抜け出すと予想される。

アシアナ航空財務諸表を連結しともに監査意見「限定」を受けた錦湖産業も適正監査意見を受けるものとみられる。

◇アシアナ航空、信用下落と債券償還圧力解消されそう

アシアナ航空が類例のない迅速な再監査手続きを踏み監査意見を「限定」から「適正」に戻したのは、会計リスクにともなう市場への影響が大きかったためだ。単に会計処理の問題ではなく、資金調達に支障をきたして流動性危機に広がりかねないと懸念すべき状況だった。急な火は消したがアシアナ航空は会計上財務数値がさらに悪化している上に財務諸表に対する信頼が落ちた状況のため追加の自助案が必要との分析が出ている。

三逸会計法人はアシアナ航空に対し２２日に「監査範囲制限による限定」の意見を出している。限定は外部監査人が企業監査を行っている間に資料不足などの理由で監査範囲が部分的に制限された場合に提示する意見だ。当時アシアナ航空は三逸会計法人が指摘した事項のうち一部だけ修正し残りは受け入れないとして対立していた。昨年１１月に施行された「株式会社などの外部監査に関する法律全部改正案」が本格施行され会計法人が極度に保守的なものさしを適用した影響だ。

状況が差し迫り錦湖グループ最高位層が乗り出したという。三逸会計法人と錦湖グループ経営陣などが協議し迅速な財務諸表修正と再監査を決め、結局限定を受けてから４日ぶりに適正意見に戻せるようになった。

金融当局の圧力もあった。崔鍾球（チェ・ジョング）金融委員長はこの日大邱（テグ）・慶尚北道（キョンサンブクド）地域の自営業・自動車部品産業現場訪問時に記者らと会い、アシアナ航空の「限定監査意見」と関連し、「根本的に会社と大株主がもう少し市場の信頼を得られる誠意ある措置を用意しなければならない」と強調した。

監査意見は適正に戻したが越えるべき山は多い。会計上の財務数値が大きく悪化しかねないためだ。アシアナ航空は２２日に訂正財務諸表を発表し昨年の純損失規模を業績速報値発表時の１０４億ウォンから１０倍を超える１０５０億ウォンに訂正した。今回三逸会計法人の指摘事項を受け入れ引当金を追加で積めば損失幅はさらに大きくなる見通しだ。

ただ負債比率は１０００％を超えていないという。アシアナ航空の負債比率が１０００％を超えると一部社債に対する期限利益喪失条件が発動され流動性危機に陥る可能性があった。

アシアナ航空は監査意見限定問題で財務構造改善作業に打撃を受けた。２９日に予定されていた６５０億ウォン規模の永久債（新種資本証券）発行が失敗に終わり債券償還圧力と格付け降格の危機に陥った。

昨年末基準でアシアナ航空の資産担保証券（ＡＢＳ）発行残高は１兆１３２８億ウォンに達する。航空券販売収益を基礎資産としたこのＡＢＳには「国内格付け会社のうち１カ所でもアシアナ航空の格付けを１段階落とせば即時償還条件が発動される」という特約が付けられている。２２日にナイス信用評価と韓国信用評価がアシアナ航空の格付けを「下方検討対象」に登録した状況だ。

アシアナ航空がＫＲＸ３００に残留できるかも関心だ。アシアナ航空は監理銘柄でＫＲＸ３００から除外される危機に置かれている。ＫＲＸ３００から除外されれば機関投資家の売り攻勢は避けられない状況だ。法曹界関係者は「アシアナ航空のような前例がなく予断はできないが、株主総会前に監査報告書を修正しただけに監理銘柄から解除されＫＲＸ３００にも残る可能性が高い」と予想する。